電子機器へのプリインストールを義務付けるロシア製アプリを公表

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2021年01月18日

連邦政府は1月6日、ロシア国内で販売されるスマートフォン、タブレット、コンピュータなどの電子機器を対象に、製品出荷前のプリインストールを義務付けるロシア製アプリを公表した(2020年12月31日付連邦政府指示第3704-r号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ロシア国内のソフトウエア開発事業者を支援する措置だが、対応に遅れた事業者が市場から撤退せざるを得なくなるという懸念の声も上がっている。

ロシア国内で販売される特定機器に対して、ロシア製アプリをプリインストールすることは、2019年12月2日付連邦法第425-FZ号で規定されていた()。今回の連邦政府指示では、具体的なアプリのリスト(添付資料表参照)が定められ、ロシア国内の製造事業者は本指示が発効する2021年4月1日以降、プリインストールを行わなくてはならなくなった。

履行できない場合の罰則については現在、下院で関係法案が審議中だが、主要経済紙「コメルサント」(2020年12月23日)によると、プリインストールを怠った事業者に対しては最大20万ルーブル(約28万円、1ルーブル=約1.4円)の罰金が科される見込みだ。

今回の措置に関する、関係者の見方は様々だ。ソフトウエア開発事業者団体ルスソフトのワレンチン・マカロフ会長は、政府による本措置の狙いを国内のソフトウエア開発企業の支援とロシア人の個人トランプ ゲーム ブラック ジャックの国内管理を可能とすることにあるとし、国内企業にとっては追い風となるとの見方を示した(電子メディア「VC.RU」1月11日)。一方、かねて本措置に反対していた家電・コンピュータ製造流通業者協会(RATEK)のアントン・グシコフ会長は「電子機器の製造事業者に余計な負担を強いるもの」とし、対応に遅れた企業が市場から撤退せざるを得ない事態を懸念している(電子メディア「レアルノエ・ブレーミャ」12月17日)。

日ロ間のITビジネス支援やウェブサービス開発を手掛ける、SAMIの牧野寛CEO(最高経営責任者)はジェトロのインタビューに対し、「対象アプリは既にロシアの消費者に広く普及しているもの」であることから、ユーザーの理解は得られるとみている。ビジネスに影響を受ける企業は、ロシアで展開する電子機器の製造事業者やウェブ開発、アプリ開発企業に限られ、日系企業への影響は限定的だろうと指摘した。

(一瀬友太)

(ロシア)

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