AIIB、今後5年間で気候変動関連融資を総融資額の50%に引き上げ

(中国、世界)

北京発

2021年01月22日

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁は1月13日の記者会見で、今後10年間の戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどを発表し、その中で、2025年までにAIIBの総融資額に占める気候変動関連融資の割合を承認済みプロジェクトベースで50%に引き上げると表明した。

AIIBは新型コロナウイルスの発生を受けて、短期的には新型コロナウイルス流行と国際経済の危機に対応し、中長期的には気候変動やデジタル化に適応していかなければならないと指摘し(注1)、今後重要となるインフラ分野として「グリーンインフラ」「社会インフラ」「政府資産の民営化」「技術駆動型のインフラ」「相互連結および地域協力」の5つを挙げた。うち「グリーンインフラ」については、再生可能エネルギーや低炭素な公共交通、良好な水の管理と衛生、汚染防止、生態系機能の強化といった分野が該当するとしている(注2)。

AIIBの公式データによると、同行の加盟国・地域は2020年末時点で設立当初の57から103まで増加したほか、過去5年間の投融資件数は承認されたプロジェクトベースで108件、累計金額は約220億3,000万ドルとなった(注3、1月19日時点)。投融資累計額(地域別)では、南アジアが87億ドルで最も多く、東南アジアが35億2,700万ドル、西アジア34億8,000万ドルで2位、3位となった(「澎湃新聞」1月13日)。 AIIBの2020年の投融資額は、新型コロナウイルスの抑制などに対応するため、前年比で約100億ドル増加した。金総裁は「2021年の新規投融資額も2020年と同様の規模になる」との見方を示している(「21世紀経済報道」1月13日)。

(注1)AIIBは、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、「新型コロナ危機回復基金」を設立している。基金はAIIB加盟国の官民が新型コロナウイルスによる経済、財政、公衆衛生の圧力を緩和・軽減することを支援するもので、規模は最大130億ドルとなる。また、報道によると、金総裁は「2021年は世界的に新型コロナワクチンの巨大な需要が生まれる。中国や米国、欧州はワクチン生産能力を急速に向上させ、恐らく約半年で国内の需要を賄うことができる」との見通しを示した。その上で「上述の国・地域がワクチンの余剰分をワクチン生産能力のない国に供給する際、AIIBは支援する用意がある」と語った(「21世紀経済報道」1月13日)。

(注2)金総裁は、太陽光発電や風力発電、水力発電などグリーンエネルギーへの投融資を拡充するとした一方、「原子力発電所の建設への参画は検討していない」と述べた(「21世紀経済報道」1月13日)。

(注3)AIIBの個別の投融資プロジェクトについては、同行の公式ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから参照できる。

(趙薇)

(中国、世界)

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