2020年の国内乗用車新規登録、2割減も低排出ガス車は急増
(ドイツ)
ミュンヘン発
2021年01月15日
連邦自動車局(KBA)は1月8日、2020年のドイツ国内の乗用車新規登録台数は前年比19.1%減の291万7,678台だったと発表した。ガソリン車、ディーゼル車がそれぞれ36.3%減、28.9%減と大きく減少した一方、低排出ガス車である電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)はそれぞれ3.1倍、4.4倍となった。この結果、乗用車新規登録台数の燃料別の内訳は、ガソリン車、ディーゼル車がそれぞれ59.2%から46.7%、32.0%から28.1%と大きく減少し、反対にBEVは1.8%から6.7%、PHEVは1.3%から6.9%と急増した。
低排出ガス車の急増の要因について、KBAやドイツ自動車産業連合会(VDA)は、(1)低排出ガス車の技術が消費者の信頼を得てきたこと、(2)自動車メーカーの販売するモデルが増え、消費者の選択肢が増えたこと、(3)2020年7月から連邦政府負担分が倍増された低排出ガス車購入時の補助金「環境ボーナス(Umweltbonus)」(関連ブラック ジャック ディーラー)などを挙げる。連邦政府は2030年までに、国内で登録された低排出ガス車の台数を現在の700万台から1,000万台に引き上げる目標を掲げる。KBAのリヒャルト・ダム局長は「2020年第4四半期の増加ペースが続けば、政府目標の達成は可能」とコメントしている。
2020年のドイツ国内の乗用車新規登録台数を主要ブランド別にみると、フォルクスワーゲン(VW)が前年比21.3%減の52万5,612台となったが、シェアでは18.0%と最大だった。前年比で増加したブランドはテスラ(55.9%増、1万6,694台)とフィアット(0.2%増、8万9,150台)のみだった。
また、VDAの1月8日の発表によると、2020年のドイツ国内の乗用車生産は前年比24.8%減の350万8,500台で、過去45年で最低になった。過去最高は2011年の587万1,918台。2020年のドイツの乗用車輸出台数は24.5%減の263万3,100台だった。過去最高は2016年の441万1,152台。
2020年12月も低排出ガス車の登録は急増
VDAによると、2020年12月の乗用車新規登録でも、低排出ガス車は急増した。BEVは前年同月比7.6倍の4万3,671台、PHEVは7.0倍の3万9,107台だった。また、同月の「環境ボーナス」の申請件数も5万8,365件となり、7月に連邦政府分負担が倍増されてから、6カ月連続で過去最高を記録した。
急激な低排出ガス車の普及に伴い、VDAは充電施設の不足を指摘している。VDAによると、2021年1月6日時点において、国内の公共充電施設は3万4,056カ所で、年初の低排出ガス車を約58万台とすると、1施設当たりの低排出ガス車は約17台となり、2020年5月時点の1施設当たり約10台に比べ、大幅に不足する状況にあるという。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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