英国向け食品、通関手続きなどの発生で価格上昇の見込み
(ベルギー、英国)
ブリュッセル発
2021年01月05日
ベルギーの食品産業界では、英国のEU離脱に伴う移行期間終了に関して、通関手続きなどの発生によるコスト増加を懸念する声が上がっている。
1月1日付のフラマン語系ニュースVRTによれば、ベルギー西部ゲント近郊のチョコレートメーカー、クリンへルは英国向けの製品について、通関手続き用の書類作成など必要な手続きが増えるほか、通関のため輸送時間も増え、さらに運転手が税関審査に対応する場合も予想され、手続きや輸送が複雑になることからコストの増加は避けられず、最終的な製品価格は約15%上昇すると見積もっている。
ベルギー食品産業連盟(FEVIA)は2020年12月24日、EUと英国が通商・協力協定に合意し、関税および関税割当を導入しないとしたこと(関連カジノ 無料 ゲーム アプリ、同日付記事参照)を歓迎すると発表。FEVIAによると、英国向けの食品輸出は約21億ユーロに上り、同国は4番目に大きな輸出市場という。今回の英国との通商・協力協定が合意されなければ、年間約3億2,100万ユーロの関税が発生し、輸出品の価格は平均約15%割高になる恐れがあったとした。一方で、通関手続きや、一部品目については衛生検査が追加で発生することにより、既に国境で何度か発生している輸送用トラックの渋滞が、2021年1月1日以降さらに頻発する可能性を指摘し、食品用輸送トラックのための優先レーン(グリーン・レーン)の導入を求めていた。
ベルギー政府もEUと英国の合意を歓迎
また今回の合意について、ベルギーのアレクサンドル・ド・クロー首相は12月23日に、合意を歓迎する旨のコメントを発表した。ド・クロー首相は「ベルギー経済の利益を最大限に保護することが最優先事項で、ベルギー企業が英国企業との不平等な競争にさらされることを防ぐことが不可欠だ。今回の合意は、英国のEU離脱による移行期間終了に伴う影響の大部分を緩和してくれるだろう。また、最後まで大きな課題として残った漁業においても、ベルギー漁業界が新たな状況に適応するための保証がなされた」と評価していた。
(大中登紀子)
(ベルギー、英国)
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