バイデン米大統領、公共交通機関でのマスク着用義務付けや外国旅行に関する大統領令署名
(米国)
ニューヨーク発
2021年01月25日
ジョー・バイデン米国大統領は1月21日、公共交通機関でのマスク着用義務化に関する大統領令に署名した。対象は空港や民間航空機、鉄道、公共船舶、都市間バスなど全ての公共交通機関(注)となる。
大統領令では、労働省や保健福祉省(HHS)、運輸省、連邦航空局(FAA)、国土安全保障省(DHS)、運輸保安局(TSA)、沿岸警備隊、その他の各関係政府機関の長に対し、米疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインに基づき、対象公共交通機関でのマスク着用を義務化するよう求めた。各機関の長は7日以内に措置導入の進み具合について新型コロナウイルス対策調整官兼大統領顧問(The Coordinator of the COVID-19 Response and Counselor to the President)に報告し、その後も定期的に報告することが求められる。また、各州や地方自治体でより有効な対策が取られる場合には、それらの実施は妨げないとしている。
外国からの渡航者に対する陰性証明提出義務化措置を評価、自己隔離も義務付けへ
同大統領令で、外国から空路による渡航者に関しては、(1)CDCが1月26日から義務化する新型コロナウイルス陰性証明書の提出措置の評価と、(2)自己隔離を含むその他のCDCガイドライン順守の義務化を各政府機関に指示した。自己隔離の義務付けについては、HHS長官に対し、運輸省とDHSの各長官と調整の上、実施計画を直ちに提出するよう求めた。陰性証明書の提出義務に関しては、CDCが1月12日に発表した措置(2020年1月14日記事参照)について、HHS長官に対し、運輸省とDHSの各長官と調整の上、14日以内に評価するよう求めた。
陰性証明書提出の義務付け措置の評価の際に検討する内容としては、(1)検査の時期や種類(搭乗直前の追加検査の検討を含む)、(2)渡航者が提出すべき検査結果証明、(3)検査を受けられない国から帰国する米国民と米国永住権保持者に対する代替措置として、到着後の検査実施や自己検疫などの公衆衛生措置の実現可能性、(4)不正行為の防止策を挙げている。HHSとDHSの長官は、これら評価結果に基づき、適切な追加措置を実施することが求められている。
また、国務長官に対しては、HHSと運輸省、DHSの各長官と協議の上、外国政府や世界保健機関(WHO)、国際民間航空機関、国際航空運送協会などと、国際旅行に関わる公衆衛生措置のガイドラインを策定するよう指示した。
ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、米国の新型コロナウイルスの死者は22日までに41万2,780人を記録した。バイデン大統領からCDC所長の任命を受けたロシェル・ワレンスキー氏は17日に米メディアに出演した際に、2月中旬までに死者数は50万人に達することが見込まれると発言している(CBSニュース1月17日)。
(注)合衆国法典(USC)第49編第5302条で定義される全ての公共交通機関となっている。
(吉田奈津絵)
(米国)
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