米農業設備大手、カザフスタンで灌漑システム工場建設へ

(カザフスタン、米国)

タシケント発

2021年01月29日

カザフスタン政府は、米国エンジニアリング・農業設備大手バルモントインダストリーズとオンラインによる会談を行い、カザフスタン国内の灌漑システムの生産プラント建設を含む農業近代化プロジェクトに関する投資協定を締結した(首相公式ウェブサイト1月12日)。

バルモントインダストリーズは米国ネブラスカ州オマハを拠点に、農業灌漑事業などを世界的に展開する総合エンジニアリング会社。2020年1月に米国企業タイソンフーズとともにカザフスタン政府と農業分野の投資に関する文書に調印している関連ブラック ジャック カード

農業近代化プロジェクトの内容は、自走式スプリンクラーなどの灌漑システム生産工場と作物収穫管理プラントの建設のほか、人材育成と技術移転のための実証農場の構築などを含んでいる。同社によると、灌漑システム工場建設の費用は最大で5,000万ドル、工期は3年、稼働から5年以内の収益化を目指す。製造するスプリンクラーの灌漑面積は1ユニット当たり90ヘクタール、価格は8万~9万ドル。年間1,000ユニットの生産を予定。購入者はカザフスタン政府系金融機関のカズアグロファイナンスの補助金制度を利用できる。バルモントインダストリーズはカザフスタンのみならず、CIS市場への展開を視野に入れている(「カピタルKZ」1月27日)。

カザフスタンの農業生産は2020年実績で前年比5.6%増と好調だった。政府は灌漑農地を拡大し、食糧生産に加えて家畜向けの牧草地の収穫量向上に力を入れている。バルモントインダストリーズの試算によると、灌漑システムの導入で牧草地の収穫量は25倍になるという。カザフスタンの灌漑用地面積は独立直前の1989年時点で250万ヘクタールだったが、現在は150万ヘクタールまで減少している(「カピタルKZ」1月27日)。周辺国を水源とする国内河川の水量は年々減少しており(「クルシブ」1月13日)、水利用の近代化・効率化が急務の課題となっている。

(増島繁延)

(カザフスタン、米国)

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