2020年の新車登録台数は大幅減少、EVなど電動車が躍進
(スイス)
ジュネーブ発
2021年01月22日
スイスの自動車業界団体オートスイス(Auto-Schweiz)の1月4日の発表によると、同国の2020年の乗用車新車登録台数は前年比24.0%減と大幅に減少し、23万6,828台となった(添付資料表1参照)。新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、1970年代の石油危機以来の低い数値となった。
メーカー・ブランド別でみると、上位5ブランドは前年と変わらず、順に、フォルクスワーゲン(VW)、メルセデス・ベンツ、BMW、シュコダ、アウディだった。ルノーは市場シェアを前年から0.9ポイント伸ばし6位となった。一方、前年10位だったオペルはシェアを前年の3.2%から1.3ポイント落とし、2020年の上位10ブランドから外れた。日系メーカーではトヨタ、三菱自動車がシェアを微増させたが、他の日系メーカーは軒並みシェアを縮小した。
車両カテゴリー別にみると、プラグインハイブリッド車(PHEV)が約3.4倍、電気自動車(EV)が48.2%増、ハイブリッド車(HEV)が46.1%増と大きく伸びた(添付資料表2参照)。これにより、HEVとPHEV、EVのシェアは前年12.7%から15.2ポイント伸び、27.9%に躍進した。一方で、ディーゼル車のシェアは前年より3.6ポイント縮小して21.9%となり、代替パワートレイン(HEV、PHEV、EV、天然ガス車、水素車の総称)を下回った。四輪駆動車も大きく減少したものの、50.0%のシェア(1.4ポイント減)を維持した。
また、オートスイスは外部電源から充電が可能なPHEVやEVなどの電動車の市場シェアを2020年までに10%まで高めることを目標とする「10/20」プロジェクトに2018年2月から取り組んできたが、2020年の電動車のシェアは14.3%となり、目標を4.3ポイント上回る結果を達成した。オートスイスは、新型コロナウイルス感染によるマイナスの影響が今後緩和されていくとのシナリオの下、2021年の乗用車の新車登録台数は27万台に回復すると見込んでいる。一方で、まだ多くの消費者が内燃機関(エンジン)が搭載されていない車を選択することに躊躇(ちゅうちょ)しており、代替パワートレインが今後もこのペースで増加するのは難しいだろうとの見方を示した。さらに、電動車の購入を支援する補助金制度の不足や充電インフラの整備の遅れといった課題も指摘している。
(竹原ベナルディス真紀子)
(スイス)
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