自動シャトルバス、ポストコロナの有望産業育成で実証実験
(シンガポール)
シンガポール発
2021年01月27日
シンガポール西部の研究施設集積区サイエンスパークと南西部ジュロン島で1月25日、オンデマンド式の自動シャトルバスを運行する実証実験が正式に開始した。実証実験は、新型コロナウイルス終息後の経済戦略を立案するため、政府が2020年5月に設置した官民の代表で構成される「再生強化タスクフォース(EST)」における、次世代産業育成のプロジェクトの一環。自動シャトルバスを開発したのは、同国政府系企業のSTエンジニアリングで、今回の実証実験には、地理ブラック ジャック オンラインシステムを手掛ける地場企業のGPSランズも参画する。
ESTは2020年6月、ポストコロナのシンガポール経済を牽引する可能性のある成長7分野として、ロボティクス、実店舗とデジタルを結ぶスマート小売り、持続可能な環境、サプライチェーンのデジタル化、設計から建設・施設管理のデジタル化、教育テック、安全な渡航・観光、の7分野を指定。それぞれ分野で民間企業連合を組成し、新たなプロジェクトを立案する計画を明らかにしていた(20220年6月24日記事参照)。今回の自動シャトルバスの実証実験は同成長7分野の1つ、ロボティクスのプロジェクトとなる。
サイエンスパークにおいて、STエンジニアリングは、大量高速鉄道SMRTと共同で自動シャトルバスを運行し、同パークと大量高速鉄道駅を結ぶ既存のバスに代える。既存のバスが30分に1本の定期運行なのに対し、自動バスはスマートフォンのアプリを使って必要な時に呼ぶことができる上、料金の支払いもアプリ上で可能なことから利便性が高まるとしている。同アプリ「ジップスター(Zipster、注)」は、SMRTや豊田通商が出資する、地場スタートアップのモビリティXが開発した。パーク内の運行は自動運転で行うが、パーク外や緊急時には運転手が運転を代わる。
一方、ジュロン島では、地場バス運行会社SBSトランジットと共同で運行する。バスを予約するアプリには、地場のライドシェアリング会社SWATモビリティが開発した「SWATライド(SWATRide)」を用いる。
サイエンスパークとジュロン島の実証実験の期間は4月末まで。STエンジニアリングはこれまでにも、南部セントーサ島や都心部の植物園「ガーデン・バイ・ザ・ベイ」で大手高速バス運行会社Willer(ウィラー、本社:大阪)などと共同で、オンデマンド型の自動シャトルバスの実証実験を行った実績がある(政府系大手のSTエンジニアリング、ブラック ジャック)。
(注)ジップスター(Zipster)は、バス、鉄道、グラブやゴジェックなどのライドシェアを組み合わせた経路案内など、多様な移動手段を1つのサービスとして提供する「モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)」のアプリ。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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