国会議員選でニコラス・マドゥロ大統領率いる与党が圧勝

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2020年12月14日

ベネズエラの国会議員選挙が12月6日に行われた。選挙管理委員会(CNE)の発表によると、開票率98.6%時点(12月9日)で、全277議席中、ニコラス・マドゥロ大統領を支持する最大与党の統一社会党(PSUV)だけで253議席を獲得したことが明らかとなった。国会ではこれまで野党連合が多数を占めており、マドゥロ大統領率いる政権側に対して影響を唯一行使できる国家機関だったが、改選された国会が発足する2021年1月5日から5年間は、マドゥロ政権が国会も掌握することとなった。

米州機構(OAS)やEUなどは選挙の正統性を当初から認めていない。マドゥロ政権側は最終的に30カ国以上から選挙監視団を招聘(しょうへい)。エボ・モラレス前ボリビア大統領やラファエル・コレア前エクアドル大統領なども来訪したが、OASやEUは監視団に参加しなかった。

投票数は選挙人登録の30.5%に当たる625万1,080人と低調だった。選挙の正統性を認めない主要野党の一部は候補者を立てず、反政府派のリーダー役となっていたフアン・グアイド国会議長も「投票することが選挙の合法性を認めることになる」と主張して投票に参加しなかった。

ベネズエラでは、生活物資価格の高騰や配給品の遅延、電力や水道など公共サービスの質の低下、新型コロナウイルス感染拡大など課題が山積しており、政治に対する期待感そのものが低下し、これが投票率の低下につながったと指摘されている。ガソリン不足も深刻で、国内の製油設備の能力が著しく低下しているだけでなく、米国による制裁の影響により、今やイランがほぼ唯一の燃料入手先となっている。

なお、グアイド氏率いる反政府派はマドゥロ政権と今回の選挙の正統性、国際的な支援を望むかの3点について、ネットアンケート方式で国民に問う「国民諮問」を12月7~12日の日程で実施。最終日の12日には街頭に集まるよう市民に呼び掛け、反対派にとっては久々の大規模な行動となった。多数が参加することでマドゥロ政権に対し一定の圧力を保持する姿勢を示した。

(マガリ・ヨネクラ、豊田哲也)

(ベネズエラ)

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