モバイル決済件数が半年で約2.5倍、政府も普及を後押し
(エジプト)
カイロ発
2020年12月07日
エジプト国家通信監督庁(NTRA)が11月23日に発表した「第2回eウォレット利用に関する報告」によると、同国のモバイル決済件数は10月に約990万件となり、第1回報告のあった3月の約390万件の約2.5倍となった。eウォレット(電子マネー)間の送金は3月の約120万件に対し、10月は約380万件で3.2倍以上となり、1回の平均送金額は981エジプト・ポンド(約6,475円、1ポンド=約6.6円)だった。特に26~45歳の年齢層で増加したという。エジプトでは、他の途上国と同様に銀行口座保有者の割合は低く、これまで現金や小切手のやり取りが多かったが、新型コロナウイルスの感染予防で現金などを避け、eウォレットなど電子(モバイル)決済の取引が増えたとみられる。eウォレット報告は、ユーザーのeペイメントに対する認知度向上を目的としている。
銀行や通信会社がeウォレットなどの決済サービスを拡充する一方で、エジプトの電子決済最大手のフィンテックFawry for Banking Technology and Electronic Paymentsの存在感も増している。同社が提供するサービス「Fawry」は、モバイル決済に加え、パソコンでの電子決済、小売店や郵便局、ATMなど提携する約20万拠点での電子決済、カードと連携した決済など複合的な電子決済プラットフォームで、企業間取引やeコマース、公共料金支払いなど幅広く利用される。2011年にサービスを開始し、同社によると、2019年に月に延べ約2,000万人の利用となり、2020年には約1.5倍の2,900万人まで拡大したという。同社は2019年8月にエジプト株式市場に上場し、現在の株価は上場時から約3倍以上となっている。
背景に携帯電話の普及も
エジプト中央銀行は新型コロナウイルス感染防止策として、紙幣の利用や書類のやり取りを減らすため、モバイル決済を含む電子決済を推奨し、政府も公共料金や税金徴収の電子決済化を進める。また、中央動員統計局によると、携帯電話の加入数は約9,620万件で、ほぼ人口比100%の普及率となり、2020年8月のスマホ・タブレット用のモバイルインターネット契約数は約4,260万件と、前年同月比12%増となった。携帯電話とインターネットの普及も電子決済増加の背景とみられる。
(井澤壌士)
(エジプト)
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