フラウンホーファー研究所、電動化などがVWの雇用に与える影響を調査
(ドイツ)
ミュンヘン発
2020年12月28日
フラウンホーファー労働経済・組織研究所(Fraunhofer IAO)は12月15日、電動化とデジタル化がフォルクスワーゲン(VW)の2030年までの国内雇用に与える影響に関する調査結果を発表した。同調査では、電動化とデジタル化は一般的に懸念されているほど雇用減につながらないと結論付けている。
本調査の題名は「2030年の雇用-電動化・デジタル化がVWにおける雇用の質・量に与える影響-」で、VWの持続可能性評議会(注)が2019年にIAOに委託したもの。IAOは同調査のプレス発表の中で、「説得力のある分析と見通しには、具体的な生産・計画データ、企業が置かれているビジネス環境に関するブラック ジャック 必勝 法が不可欠で、今回、持続可能性評議会のイニシアチブでVWから初めてこれらブラック ジャック 必勝 法が得られた」としている。
同調査では、少なくともVWにおいては、調査の対象としている2030年までに電動化で雇用が大量に失われることはなく、電動化による車両生産における雇用減は、これまでに発表された他の調査結果に比べて大きくないとした。一番影響を受けるのは部品製造分野だが、VWは既に蓄電池開発・生産などの新分野を手掛けており、これにより、雇用減を一定程度抑えられているという。また、電動化が雇用減の直接の原因というより、電動化が生産・物流の自動化をさらに推し進めるきっかけになって、それが雇用に影響を及ぼすとしている。
一方、デジタル化では、導入のために人的リソースが必要で、中期的には雇用を増やす要因になるという。今回の調査のプロジェクトリーダーであるIAOのフロリアン・ヘルマン博士は「今後10年を見通すと、雇用が増える領域もあれば、雇用が減る領域もある。また、職務が大幅に変わる領域もあり、統一的なトレンドはない」としている。調査では、雇用減という量的課題よりも、新しく求められる能力に対応できる従業員を育成し、獲得できるかという質的課題の方がより大きな課題になり得るとしている。
IAOは、ドイツでは関連産業も含めた自動車産業の雇用は全体の約5%を占めるとし、自動車産業が抱える構造転換に伴う課題に、産官学がいち早く取り組むべき、としている。今回の調査結果は、IAOのウェブサイトで公表されている(本編はドイツ語のみ)。
(注)VWが2016年にグループ内に設置した機関で、独立した立場で、持続可能性や社会的責任などの戦略的テーマについてVWに提言する役割を担う。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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