2021年ASEAN議長国のブルネイ、取り組むテーマを解説

(ASEAN、ブルネイ)

ジャカルタ発

2020年12月07日

2021年にASEAN議長国を務めるブルネイのエルワン・ペヒン・ヨセフ第2外相は12月2日、シンガポールのシンクタンクが主催したオンラインイベントで、ブルネイが議長国テーマとして掲げる「We Care, We Prepare, We Prosper(ともにいたわり、ともに準備し、ともに繁栄する)」に関して講演し、「新型コロナウイルス禍」で顕在化した課題解決のため、ASEAN諸国がともに協力することの重要性を訴えた。

エルワン氏は上記の各テーマについて説明した。「Care」に関しては、新型コロナウイルスのワクチン開発に向けASEANが真剣に取り組み、「ポスト・コロナ」を見据えた公衆衛生の向上に取り組むとした。また「インダストリー4.0」(第4次産業革命)によってもたらされるさまざまな機会やリスクに対し、経済・社会文化など包括的な観点から人々の安全を確保していくと述べた。「Prepare」については、米中対立や従来にはなかった安全保障上の課題に立ち向かうため、ASEANは「サステナビリティー(持続可能性)」を最優先とし、パートナー国と建設的な関係を構築し、平和な関係を築く「多国間主義」を重視する姿勢を示した。具体的な例として、ASEANは気候変動問題に継続して取り組むことを表明した。「Prosperity」では、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の協定締結に触れながら、「われわれは不健全な競争ではなく、互いに経済的に補い合うことが必要だ」とし、経済統合やグローバル化を景気回復の機会として活用する決意を示した。一方で、ASEANが交渉を続けているEUとの自由貿易協定(FTA)については、「一度立ち止まってアプローチの方法をリセットする可能性もあり得る」としている。

ASEAN産業界はデジタル人材育成をテーマに

ASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)も毎年、議長国が主導してプロジェクトを実施する(レガシープロジェクト)。ASEAN-BACブルネイによると、2021年はデジタル分野の人材育成強化を狙いとしたプロジェクトとなる見込み。

(注)ASEAN-BACはASEAN各首脳が指名した産業界の代表からなる組織で、ASEAN首脳会合や経済担当相との対話の場で政策提言を行う。

(上野渉)

(ASEAN、ブルネイ)

ビジネス短信 ac0c3d94c4907ba0