北アイルランドに移送する物品への関税賦課基準を確定
(英国、EU)
ロンドン発
2020年12月21日
EU離脱協定に基づき設置された英EU合同委員会が、同協定の実施について原則合意に達したことを受け(EU・英国合同委員会、ブラック)、英国政府は、移行期間終了後の北アイルランドにおけるモノの移動や各種規制などに関する文書やガイダンスを順次作成・更新している。注目されていた、北アイルランドに持ち込まれる物品がアイルランドなどEU域内に移送される「可能性なし(not at risk)」と認定される基準については、12月10日に同合同委員会の仮決定文書を、14日にはそのガイダンスを、さらに15日には「not at risk」認定の条件の1つとなる事業者認可制度「英国トレーダー・スキーム」のガイダンスを公表した。概要は添付資料表1および表2のとおり。
発効済みのEU離脱協定の規定により、EUに移送される可能性がある(at risk)とみなされる物品は、北アイルランドに輸入または搬入される際に、EUとの間に自由貿易協定(FTA)がなければ、EUの対外共通関税率に基づく関税を徴収される。一方、EUに移送される可能性がない(not at risk)とみなされれば、グレートブリテン島からの移送では関税は徴収されず、英国とEU以外の第三国から輸入される際には、グレートブリテン島と同様に、英国の関税率に基づく関税を徴収される。
英EU合同委員会が今回設定した基準を導入することで、グレートブリテン島から北アイルランドに移送される物品の約98%は「not at risk」とみなされ、FTAがなくても関税は徴収されないもよう(「RTE」12月9日)。同合同委員会は12月17日にビデオ会議で5回目の通常会合を行い、8日に原則合意した一連の決定を正式に採択している()。17日には、原則合意を受けて、英国政府がEU離脱協定に違反する条項を削除するとしていた「国内市場法」(EU・英国合同委員会、ブラック)も正式に成立している。
(尾崎翔太)
(英国、EU)
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