米大統領選、バイデン氏が選挙人投票で勝利もトランプ大統領は依然敗北を認めず
(米国)
ニューヨーク発
2020年12月16日
米国各州で12月14日、11月3日の国民投票の結果を踏まえて両候補に配分された選挙人が、支持候補に投票した。各州が事前に確定した結果どおり、民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が全米の選挙人538人の過半となる306人の支持票を獲得し、勝利した。共和党のドナルド・トランプ大統領は依然、敗北を認めていないが、上院共和党トップのミッチ・マコーネル院内総務(ケンタッキー州)が15日にバイデン氏の勝利を認めるなど、党内でも厳しい立場に立たされている。
バイデン氏は選挙人投票での勝利を受けた演説の中で、今回自身が得た306票が、トランプ氏による2016年選挙での獲得票数と同じことに触れ、「トランプ大統領は獲得票数を地滑り的な勝利と評していた。彼の基準に従えば今回の結果は明白な勝利を示しており、彼もそう認めることを望む」と、トランプ氏に敗北を認めるよう促した。
しかし、トランプ氏は自身のツイッターを通じて、依然として選挙に不正があったことを主張しており、敗北を認める気配はない。同氏は、接戦州での選挙結果を覆すことを目的に各種訴訟を行っていたが、いずれも成功していない。このような中、上院で最高位となるマコーネル院内総務が12月15日に、「われわれの統治制度は1月20日に誰が(大統領に)就任するかを決定する手続きを規定している。選挙人は答えを出した。よって今日、私は大統領に当選したジョー・バイデン氏を祝福する」との声明を出した。また、選挙不正に関する証拠が認められないと主張して、トランプ氏との意見の相違が指摘されていたウィリアム・バー司法長官が、12月23日での辞任の意向をトランプ氏に伝えるなど、これまで近かった党内の重要人物がトランプ氏から離れる動きが出ている。
選挙人投票の結果は2021年1月6日に、上下両院合同会議で正式に承認される予定だ。手続き的にはその場で、上下両院から最低1人ずつの議員が書面により個別州の選挙結果に異議を呈した場合、合同会議はいったん休会となり、各院内で最大2時間協議し、異議を認めるか否かの投票を行う。その後、合同会議を再開し、各院が協議の結果を報告するが、異議が呈された票を無効とするには両院が合意しなければならない。しかし、年明けの新議会で、引き続き上院共和党トップを務めるマコーネル議員がバイデン氏勝利を認めており、下院も民主党が多数派を維持する中では、そのような事態が起きる可能性はほぼないという見方が大勢だ。従って、今回の選挙人投票を経て、2021年1月20日にバイデン氏が大統領に就任することがほぼ確実になったとみられる。
(磯部真一)
(米国)
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