電子決済の促進へキャッシュバック制度導入

(イタリア)

ミラノ発

2020年12月16日

イタリア政府は12月9日、キャッシュレス決済推進のため新たな取り組みを発表した。「イタリア・キャッシュレス」と呼ばれるこの制度は、電子決済方式で支払った額の一部を返還することで利用者にインセンティブを与え、キャッシュレス化を促すことを目的とする。イタリアは従来、欧州の中でも特に現金主義が根強い国の1つだが、決済の近代化とデジタル化を進め、より速くてシンプル、透明性の高い仕組みを発展させることを目指す。

キャッシュレス決済による支払額の10%返還

専用アプリをダウンロードし、2021年1月1日から半年間で少なくとも50回以上、電子決済で支払いをした場合に、支払額の10%がキャッシュバックされる(注1)。1人当たりの返還額の上限は半年間で150ユーロ、年間で300ユーロとなる。支払いの最低額は設けられていない。利用に当たっては、クレジットカードやデビットカード、その他の電子決済専用のアプリなど指定の方法で支払いを行う場合が対象となる(注2)。各種小売店やスーパー、飲食店など幅広い場面での決済が対象だが、電子商取引(EC)などオンライン購入は対象外となる。キャッシュバック分は登録した銀行口座に後日振り込まれる。利用時に電子身分証明書を取得した後、「IO」と呼ばれるアプリをダウンロードした上で、必要事項を入力する流れとなっている。

この制度は2021年から開始するが、現在先行して「クリスマス・エクストラキャッシュバック」(l’Extra Cashback di Natale)を既に実施しており、12月8日から31日までの間、電子決済で10回以上支払いをすると、支払額の10%のキャッシュバック(上限150ユーロ)が受けられる仕組みだ。

これら一部の金額を返還する方式のほか、「スーパーキャッシュバック」と呼ばれる取り組みも2021年に開始する予定だ。1月1日以降半年ごとに、電子決済で支払った回数が最も多い10万人を対象に、1,500ユーロを返還する。支払額に要件はなく、支払い回数のみがカウントされる。現在のところ、2022年上半期までの計3期間分の実施を予定している。

(注1)ただし、1回の支払いに対するキャッシュバック額は15ユーロが上限。

(注2)対象となる具体的な決済方法はウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で確認可能。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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