ISO、新型コロナウイルス感染防止の労働安全PAS 45005を発行

(スイス、世界)

ジュネーブ発

2020年12月23日

国際標準化機構(ISO、在ジュネーブ)は12月15日、労働者の安全と衛生を新型コロナウイルスから守るための公開仕様書(注1)であるPAS 45005の発行を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

正式な文書名は「ISO/PAS 45005:2020 労働安全衛生マネジメント-新型コロナウイルスパンデミック下の安全な労働のための一般指針」。通常、ISOの標準作成には平均3年は要するが、同文書については、英国規格協会(BSI)が事務局となっている、ISO 45001(注2)などを作る労働安全衛生関係の専門委員会(ISO/TC283)が3カ月で完成させ、ISO加盟80カ国の承認を経て、今回発行された。

同文書の目的は、新型コロナウイルスから生じるリスクを管理し、労働者とその関係者(訪問客など)の安全衛生、心身の健康を保護するガイドラインを組織に提供すること。決まったステップを提示して従わせるのではなく、PDCAサイクルを継続的に回すためのフレームワークを提供し、組織が変化する感染症の状況に対応できるよう示すものとなっている。

例えば、主に以下の内容が含まれる。

【計画とリスクアセスメント(箇条4)】

  • 職場と設備に関して新型コロナウイルス感染を防ぎ、安全に利用するために確認する衛生事項
  • 在宅勤務を決める際に、組織が労働者に尋ねるべき質問事項
  • 職場で密なコンタクトが避けられない場合、組織が取るリスク緩和の方策
  • 予見可能な緊急事態への備えと、既存の緊急対応プロセスの見直し

【運用(箇条12)】

  • 職場に復帰する労働者への安全衛生に関する指示
  • 接触を避けるための職場の出入り管理
  • 作業場での対人距離の確保
  • 郵便・宅配便や物の受け渡しなどでの安全確保

PAS 45005は、日本規格協会のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからPDFまたは冊子の購入ができるほか、ISOのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから無料で閲覧(読み取り専用)ができる。

(注1)公開仕様書(Publicly Available Specification、PAS):市場の喫緊のニーズに応えるため、短期間で作る公開文書。体裁は規格と類似するが、有効期限を持つ。後に規格として発行されるか廃止される。

(注2)ISO 45001:労働安全衛生マネジメントシステムのISO規格。

(小谷由紀子)

(スイス、世界)

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