デジタル化によるASEANのヘルスケア産業の高度化を討議
(ASEAN、マレーシア、日本)
ジャカルタ発
2020年12月22日
日本の経済産業省、日アセアン経済産業協力委員会などは12月15日、「イノベーティブ&サステナブル成長対話(DISG)」のオンラインセミナーの第3弾を開催し、デジタル化によるASEANのヘルスケア産業の高度化について有識者を招き、討議した。DISGは、2020年8月の日ASEAN経済相会合での合意に基づく、日本とASEANの新たな協力枠組みで、デジタルイノベーションの推進やサプライチェーンの強靭(きょうじん)化などさまざまなテーマに関し、有識者によるセミナーや議論を行うもの。これまでに、デジタルイノベーションやデジタル貿易についてオンラインセミナーを開催していた。
第3弾のオンラインセミナーでは、アジアの高齢化や医療産業における課題などについて、日本の企業やASEANの民間団体が討議した。アジアにおける高齢化問題に取り組むエイジングアジア創設者のジェニス・チェア氏は、今後、高齢者介護を行うヘルスケアワーカー自体の高齢化が進んでいくとした上で、「デジタル技術を活用し、高齢者が自分自身のケアを行うことになるだろう」と将来的な介護像を示唆した。マレーシアに本部を置くアジア最大の民間医療機関IHHヘルスケアの齋藤武取締役は、ASEANのヘルスケア産業における問題点として、病院のスタッフや料金体系の整備状況を挙げた。日本含む約20カ国でITを活用した医療・介護サービスを展開するアルムの坂野哲平CEO(最高経営責任者)は、日本のヘルスケア産業が「多くの失敗を乗り越えてきた経験から、さまざまな課題にソリューションを提供できる」とした。
今後のASEAN諸国におけるヘルスケア産業高度化については、外国企業による投資手続きの統一や、国境を越えた医療データの交換が可能となる仕組みづくりを重要視する声があった。
(上野渉)
(ASEAN、マレーシア、日本)
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