「今年のベルギー企業」、産業用機械の予測保守システム企業に決定
(ベルギー)
ブリュッセル発
2020年12月16日
ベルギーの会計コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤングは12月7日、2020年の「今年の企業」に、産業用機械の予測保守診断システムを提供するアイ・ケア(I-care)を選出したと発表した。
「今年の企業」は、アーンスト・アンド・ヤングが銀行大手BNPパリバ・フォルティスと、経済紙「レコー」と共同で運営している表彰で、1996年に開始され今年で25回目を迎える。ベルギーに設立された企業を対象に、革新性や事業戦略、財務状況などの要素を勘案して決定する。主にブリュッセル首都圏地域とワロン地域のフランス語圏に所在する企業が参加している。
アイ・ケアは、ベルギー東部のモンスに所在する2004年創業の企業で、産業用機械を遠隔でモニタリングし、振動や超音波、熱放出などのデータを独自に解析し、予測保守を適切なタイミングで実施するシステムを提供している。石油・ガス、エネルギー、製薬、農業など広範な分野で活用できるシステムで、現在40カ国で1万台以上のセンサーが稼働している。「新型コロナウイルス禍」の中でも同社の業績は好調で、2019年時点の売上高は約4,000万ユーロだったが、5年後には1億ユーロを超えると見込まれている。
また、8回目を迎える別部門の「今年のスケールアップ」には、従業員や来場者の入退室管理システムを提供するプロキシクリック(Proxyclick)が選定された。
「今年のスケールアップ」は、成長段階にある創業間もない企業を対象に、起業家精神や革新性などの観点から、大きな潜在性と将来性を有していると判断される企業に与える。プロキシクリックは、オフィスや生産施設内の入退室コントロールのシステムを開発・提供している。スマートフォン向けのアプリケーションを用いて従業員や来場者の動きをリアルタイムで管理することで、セキュリティー向上を図る。体温計測システムと連結した来場者管理や、オフィス内の従業員人数のコントロール、陽性者とのコンタクト・トレーシングなどにも活用ができ、「新型コロナ禍」の中でも需要が期待できる。
(山田泰慎)
(ベルギー)
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