英国経済界、EUとのFTAを歓迎するも迅速な政府の対応を要望
(英国)
ロンドン発
2020年12月25日
英国・EU間の自由貿易協定(FTA)など将来関係をめぐる交渉が12月24日に合意したこと()を受け、英国の経済・産業団体が声明を発表した。
英国商業会議所(BCC)のアダム・マーシャル事務局長は「企業は英EU間貿易の新たな基礎となる合意を歓迎する一方、新協定発効までの1週間で膨大な準備作業に直面している。政府には、企業が必要な変更をすぐに行えるよう明快、正確かつ詳細なガイダンスを提供する責任がある。移行期間終了直前まで、多くの詳細発表と手続きが残されている。双方が合意した今、経済と貿易に確実性を与え企業が将来を見据えられるよう、迅速に批准手続きを進めることを要求する」とした。
英国産業連盟(CBI)のトニー・ダンカー事務局長は、合意に達した交渉チームと両首脳に賛辞を送る一方、「全ての分野で政府からの迅速なガイダンスの公表が必要。加えて、データから原産地規則まで、猶予期間を至急確認し、また商品の国境を越えた輸送を確実に継続することが求められる」としている。
英国自動車製造販売者協会(SMMT)のマイク・ホーズ会長は「合意を歓迎する。一方で、段階的な導入期間は、双方企業の適応に重要で、1月1日から関税のない貿易を途切れなく確実に実施するための努力が継続されるべき。限られた時間内に全て企業が可能な限り準備を整えられるよう、政府と緊密な協力を続ける」とした。
英国農業者連合(NFU)のミネッテ・バターズ会長は「英EU間の協定の締結は、英国の農業にとって非常に良い知らせ。EUは最大の貿易相手国で、EU市場への関税のないアクセスを維持することは、英国の食品・農業界にとって非常に重要。農業経営者のビジネスや生計にとってというだけでなく、高品質な国産食品の安定した供給継続にとっても重要」とする。一方で、「高品質だが腐りやすい農産品の輸出を優先し、移行期間終了後にこれらが国境で列に並ぶことがないよう、政府ができる限りの対策を行うことが不可欠。移行期間終了まであと7日だが、貿易業者は依然として現場で大きな混乱に直面しており、英国とEUの双方に対し混乱を解決するための協議を継続するよう要請する」とした。
物流業界団体のロジスティクスUKのエリザベス・デ・ジョン政策責任者は「合意は英国経済にとって素晴らしいニュース。引き続き重量物車両(HGV)はEU市場にアクセスでき、航空機はEUとの間の運航が許可された。これにより、英国・EU間の高度に結びついたサプライチェーンが保護される。一方、新たな貿易関係では、税関申告の導入、食品や家畜の追加検査など多くの準備が必要になるため、貿易業者はこれまで同様、新たな貿易条件に備える必要がある」と述べた。
(宮口祐貴)
(英国)
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