メルコスール域外からの環境対応車に低関税輸入枠を設定
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2020年11月24日
経済省は、アルゼンチン国内で自動車を製造する事業者を対象に、環境対応車のメルコスール域外からの輸入に対し低関税枠を設定した。11月4日付政令846/2020号を官報公示し、政令は即日発効した。
低関税輸入枠は1,000台で、期間は11月5日から6カ月間。通常35%のところ、0~5%の低関税が適用される。対象となるのはハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車で、メルコスール共通関税番号であるNCMコード(関税分類番号)は次のとおり。
- 8703.40.00、8703.50.00、8703.60.00、8703.70.00、8703.80.00、8704.21.90、8704.31.90、8704.90.00
また、完成車と、セミノックダウン(SKD)および完全ノックダウン(CKD)向けでは、適用される税率が異なる。ハイブリッド車の完成車は5%、SKDとCKDは無税。電気自動車、燃料電池自動車の完成車は2%、SKD、CKDは無税となっている。
メルコスール域外から輸入される環境対応車への低関税枠については、マウリシオ・マクリ前政権下で導入され、2017年5月から2020年5月までの3年間で6,000台の枠が設定されていた()。その後は新たな枠が設けられていなかったが、今回、政府はアルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)からの要請を受けて新たに設定した。
低関税枠を導入した2017年5月12日付政令331/2017号によると、電池を除く車両重量が400キロ以下の人員輸送用の電気自動車、電池を除く車両重量が550キロ以下の貨物輸送用の電気自動車、最高出力が15キロワット(kW)の自動車、航続距離が80キロ以下の自動車は、輸入枠の対象から除外されている。
なお、2017年に導入した当初は、自動車製造業者のみを対象としていたが、輸入業者からの不満の声を受け、2019年3月28日付政令230/2019号により、自動車輸入業者もその対象に含められた。しかし、今回は再び、自動車製造業者のみを対象とした。
半年で1,000台という輸入枠について、2020年11月5日付の現地紙「エル・クロニスタ」電子版は、2017年5月から36カ月の期間の輸入台数が6,000台に満たなかったことを考慮すれば、「今回の輸入枠は十分とADEFAの中では捉えられている」と報じている。また、10月27日付の現地紙「アンビト」電子版は、「6,000台の輸入枠の67%はトヨタが利用した」と報じた。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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