米大統領選、バイデン氏優勢も激戦州での提訴が結果確定を遅らせる可能性
(米国)
ニューヨーク発
2020年11月05日
米国大統領選挙の投票は11月3日(現地時間)に締め切られたものの、開票作業が米東部時間4日午後7時30分(日本時間5日午前9時30分)時点も続いている。民主党のジョー・バイデン前副大統領が優勢、と報じられているものの、現職で共和党のドナルド・トランプ大統領陣営が激戦州での開票作業における不正を理由に提訴を起こすなど、結果確定に時間がかかる可能性が出ている。
米主要メディアの集計によると同時点で、全米の選挙人538人のうちバイデン氏が253人、トランプ氏が213人を既に押さえている(CNN)。激戦州のうち、フロリダ州(選挙人:29人)とテキサス州(38人)はトランプ氏が押さえ(米大統領選は大接戦、ブラック)、ウィスコンシン州(10人)、ミシガン州(16人)はバイデン氏が押さえた。よって、それ以外のペンシルベニア州(20人)、ジョージア州(16人)、ノースカロライナ州(15人)、アリゾナ州(11人)、ネバダ州(6人)の5州での結果が勝敗を決める。
ペンシルベニア、ジョージア、ノースカロライナはトランプ氏優勢、アリゾナとネバダはバイデン氏優勢とされており、この情勢が変わらなければ、バイデン氏が選挙人の過半数270人を確保して勝利となる。しかし、早くもトランプ陣営が、ペンシルベニアとミシガン、ジョージアの3州での開票作業における監視不足を理由に、集計中止を求めて提訴を行った。それに加えて、ウィスコンシン州では再集計を要請するなど、結果確定が遅れる可能性が出ている。さらにトランプ陣営は、ペンシルベニア州で、同州最高裁が郵便投票(11月3日までの有効消印)を11月6日午後5時まで受け付けるとした判断の是非についても、連邦最高裁に対して至急判断を下すよう要請した(注)。連邦最高裁に関しては、10月26日に保守派のエイミー・コニー・バレット判事が就任し、判事全体の構成は保守派6人、リベラル派3人のバランスとなっている(保守派のバレット氏、ブラック ジャック)。
一部報道によると、トランプ陣営はアリゾナ州とネバダ州でも同様の訴訟を起こす可能性を示唆している。これに対して、バイデン陣営のボブ・バウアー上席顧問は「共和党が激戦州で行う、いかなる試みにも対処する準備がある」と述べている(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版11月4日)。
(注)連邦最高裁は10月28日にいったん、本件に関してバレット判事を除く判事8人で採決を行っている。その際は、ジョン・ロバーツ長官(保守派)が賛成側についたことから、4対4の採決となり、ペンシルベニア州最高裁の判断が維持された。その後、共和党側が緊急手続きに基づく最終判断を求めていたが、最高裁は保留としていた。
(磯部真一)
(米国)
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