英製薬大手グラクソ・スミスクライン、免疫増強剤の生産をベルギーで開始
(ベルギー)
ブリュッセル発
2020年11月12日
英国製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)がベルギー・ワロン地域ワーブルの同社の生産施設で、現在開発中の新型コロナウイルス用ワクチンに使用する免疫増強剤(アジュバント)の生産を11月6日に開始したと、ベルギーのフランス語公共放送RTBFなど国内主要メディアが報じた。
フランスのサノフィと共同開発中のワクチンなどに使用
アジュバントは、ワクチンに添加することで抗原抗体反応を活性化させるとともに、ワクチン1回当たりに使用する抗原の量を抑えることができ、GSKによると、より多くのワクチン生産が可能になるという。同社は2021年に10億回分のアジュバントを生産する予定を6月に発表しており、既にフランス製薬大手サノフィと共同開発を進めている新型コロナウイルス用ワクチンに使用されるほか、中国の三叶草生物製薬(クローバー・バイオファーマシューティカルズ)や、田辺三菱製薬の子会社であるカナダのメディカゴにも供給する予定であることを既に発表している。
GSKとサノフィが共同開発を進めるワクチンは、上述のアジュバント技術と、サノフィが有する遺伝子組み換え技術から得られる新型コロナウイルスのスパイク・タンパク質(注)抗原を組み合わせたもので、2021年下半期の供給開始を目指している。生産されるワクチンのうち、EU加盟国向けに3億回分、米国向けに1億回分、カナダ向けに7,200万回分をそれぞれ供給する事前購入契約を各政府と既に締結している。
(注)新型コロナウイルスの表面にあるタンパク質の突起部分で、細胞の受容体と結合することで感染が引き起こされる。
(山田泰慎)
(ベルギー)
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