2020年の米EC売上高、新型コロナ感染拡大で急増
(米国)
ニューヨーク発
2020年11月26日
米国商務省の速報(11月19日付)によると、2020年第3四半期(7~9月)の米国の電子商取引(EC)売上高(季節調整値)は前年同期比36.7%増の2,095億ドルで、小売売上高に占めるECの比率は14.3%となった(添付資料図参照)。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による外出禁止令や小売店舗閉鎖の広がりから、消費者の購買行動がオンラインへ移行する急速な動きがみられた。商務省によると、多くの州で自宅待機令が発令されていた第2四半期(4~6月)には、ECの売上高は前年同期比44.5%増の2,115億ドルと、統計開始(2001年)以来最大となる増加幅を記録した。直近10年間の推移をみても、EC売上高の成長は明らかだ。新型コロナウイルス発生以前は堅調に伸びていたものの、年間成長率は平均15%程度にとどまっていた。しかし、感染拡大後の第3四半期には、前年同期比で約2倍強となる約37%の成長率に上昇した。
今後もEC市場の成長は長期にわたって継続するとみられる。米調査会社イーマーケターは、米国の2020年のEC売上高が前年比32.4%増の7,945億ドルに上るとの見通しを発表した。自動車や燃料も含めた小売りの総売上高に占めるECの比率は14.4%に達し、2024年までに19.2%に拡大すると見込まれている。また、EC市場の拡大とともに、主要な小売業者による市場シェアも増加傾向にある。米調査会社イーマーケターによると、EC売上高(注)上位10社の市場シェアは2019年の57.9%から2020年に63.2%へ上昇すると見込まれている。首位のアマゾンの売上高は3,095億8,000万ドルで、EC市場の約4割を占める。次いで、ウォルマート(462億ドル)、イーベイ(388億ドル)なども上位にランクインした。
EC売上高上位10社は以下のとおり。
- アマゾン EC売上高:3,095億8,000万ドル、EC市場シェア:39.0%
- ウォルマート 462億ドル、5.8%
- イーベイ 388億ドル、4.9%
- アップル 275億1,000万ドル、3.5%
- ホームデポ 167億1,000万ドル、2.1%
- ベストバイ 157億ドル、2.0%
- ターゲット 138億2,000万ドル、1.7%
- ウェイフェア 116億6,000万ドル、1.5%
- クローガー 112億8,000万ドル、1.4%
- コストコ・ホールセール 111億8,000万ドル、1.4%
(注)各社の売上高(インターネット経由で販売される製品・サービスの総価値)は、2020年の予測値(旅行やチケット販売の売り上げを除く、2020年10月時点)。
(樫葉さくら)
(米国)
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