オーストリア、11月3日からロックダウン措置を再導入
(オーストリア)
ウィーン発
2020年11月04日
オーストリアのセバスティアン・クルツ首相は10月31日、新たな新型コロナウイルス対策を発表した。オーストリアでは22日に新規感染者数が初めて3,000人を超え、31日には過去最多の5,349人に達し、病院の受け入れ態勢が逼迫しつつあり、政府はソーシャルパートナー(雇用者代表と被雇用者代表)、知事、議会各党との協議の上、2度目のロックダウン実施に踏み切った。11月3日午前0時から施行されている。
主な措置は以下のとおり。
○午後8時から翌日午前6時までの外出禁止(ただし以下の場合を除く)。
- 身体、生命、財産への直接的危険の回避
- 助けが必要な人の世話と支援
- 日々の生活のための必需品の確保
- 必要な限りにおける職務上の目的
- 屋外での心身のリラクゼーションの目的
○飲食店のテークアウトは午前6時から午後8時まで、宅配は終日可能(ただし店内での飲食は禁止)。
○宿泊施設の利用禁止(ただし、ビジネス上の理由を除く)。
○室内スポーツと、他者との接触のある野外スポーツの禁止。1人で行う野外スポーツは他者と1メートルの距離を保てば可能(ただし無観客のプロスポーツを除く)。
○プライベートエリアでの会合やパーティーの禁止。
○全ての文化施設(演奏会、演劇、映画など)を閉鎖。ただし図書館は1人当たり10平方メートルのスペース確保を条件に利用可能。
○レジャー・スポーツ施設(室内プール、フィットネスジム、博物館、美術館など)の営業禁止。
○高齢者介護施設での面会条件を厳格化(訪問は1日おき、1家族1人のみ、陰性証明書の提出を義務付け)。
○学校の上級学年(14歳以上の生徒)、大学生はオンライン授業に移行し、幼稚園、低学年は対面授業を継続。
○可能な限りホームオフィスを推奨。
外出制限は11月12日まで続き、その他の措置は11月30日まで継続する。
今回のロックダウンは、4月に実施されたものと異なり、小売業は営業が認められている。製造業とサービス業も経済活動を継続し、幼稚園、学校の低学年は従来どおり登園・登校できる。教会の礼拝も可能だが、葬儀への参加は50人に限定される。
ロックダウンにより、営業中止を余儀なくされる企業に対する支援策として、ゲアノット・ブリューメル財務相は同時に、2019年11月の売り上げの最大80%を補償すると発表した。また、労働市場への影響を緩和するため、4月と同様、従業員の時短労働を拡大させる。
(エッカート・デアシュミット)
(オーストリア)
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