大統領と野党党首が憲法改正案も含む首相制導入などを提案
(ケニア)
ナイロビ発
2020年11月02日
ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領と、野党・オレンジ民主運動の党首ライラ・オディンガ氏は10月26日、憲法改正案を含む「かけ橋(Building Bridge)イニシアティブ・レポート」を発表した。同イニシアティブは、2017年の大統領選挙で争ったケニヤッタ大統領とオディンガ氏が手を取り、国家の課題と解決策を議論する構想で、2018年3月に発足した。180ページにのぼる本レポートには、主に以下の提案が含まれている。
【憲法改正を要する提案】
- 統治制度の改正。現在の大統領制(大統領、副大統領)に、首相制(首相、副首相)を加える。
- 司法オンブズマン制度の導入。
- 内閣制度の改正。閣僚と国会議員の兼務を認める。
- 選挙制度の改正。国会議員の増員など。
【法改正を要する提案】
- 2012年零細・中小企業法の改正。若者が所有する企業には、7年間の減税措置を講じる。
- 腐敗・汚職防止法の罰則を強化する。
現時点で本レポートに法的拘束力はなく、特に上記の提案を実現するには、2010年に成立した新憲法を改正する必要がある。国会による審議や国民投票で採択されなければならない。総選挙が予定されている2022年までの実現は難しい、との見方もある。
また、現地メディアは、ケニヤッタ大統領と後継者候補に挙がっているウィリアム・ルト副大統領の関係にも注目している。ケニヤッタ大統領とオディンガ氏が本イニシアティブを主導しており、重要な改正案が含まれるにもかかわらず、ルト副大統領の提言は受け入れられなかった、とされる。ケニヤッタ大統領は、ルト副大統領との関係について、「方向性の違いが生じている」と発言した、と報じられている(「スタンダード」紙10月26日)。
(久保唯香)
(ケニア)
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