「新型コロナ禍」がデジタル化促進、経済の分断を増大させるリスクも
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2020年11月26日
ドイツIT・通信・ニューメディア産業連合会(BITKOM)は11月16日、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)がドイツ企業のデジタル化推進に与える影響に関する調査結果を発表した。調査には従業員20人以上のドイツ企業605社が参加した。その結果によると、84%の企業が「自社の事業運営上、パンデミックによってデジタル化の重要性が増した」と回答、さらに97%の企業が「デジタル化を自社にとってのチャンスと捉えている」と回答し、4月の調査時から7ポイント増加した。また「デジタル化が進んでいる企業は新型コロナウイルスの世界的流行をよりうまく乗り越えられる」と回答した企業は70%に上り、多くの企業がパンデミックの対応のカギとして、デジタル化を位置付けていることがわかった。
企業が導入を進めるデジタル化は、「技術」「ビジネスプロセス」「従業員」の大きく3分野に分類され、技術面では、「新たなソフトウエアの導入」(75%)や「ハードウエアの購入」(70%)などを多くの企業が挙げた。ビジネスプロセス面では、「ビデオ会議の導入」(81%)、「デジタル提携ツールの利用」(79%)に取り組む企業が多くみられた。従業員の面では、「在宅勤務の導入」(70%)を採用する企業が多かった(添付資料表1参照)。こうした対策の導入の狙いとしては、「企業の作業能力の確保」(96%)、「将来の危機への備え」(96%)、「これを機会として、デジタル化の遅れを取り戻す」(59%)などが挙がった。
デジタル化導入は危機により両極化するリスクも
新型コロナ危機により、多くの企業が財政的にも影響を受ける中、デジタル化への投資姿勢の二極化という変化がみられる。43%の企業がデジタル化への投資を増やす一方、中小規模の企業を中心に全体の約30%が投資を減少させているという。この理由として、「パンデミックの影響による財源不足」(66%)、「春のロックダウンによるプロジェクトの延期」(59%)、「倒産の危機による優先順位の変更」(59%)などが挙げられた(添付資料表2参照)。BITKOMのヨアヒム・ベルク会長は「パンデミックによるデジタル化の急進が国内経済のさらなる深い分裂を引き起こすリスクがある」と指摘している。
(ベアナデット・マイヤー、森悠介)
(ドイツ)
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