モリソン首相、バイデン氏に祝意を表明
(オーストラリア、米国)
シドニー発
2020年11月10日
オーストラリアのスコット・モリソン首相は11月8日、米国大統領選挙における民主党ジョー・バイデン前副大統領の当選確実の報を受け、祝意を示す声明を発表した。
声明では、オーストラリアと米国の同盟関係について、「法の支配、人権、自由、多様性などの民主主義の価値観を共有する、永続的な関係にある」と述べた。また、「新型コロナウイルス感染拡大の影響や、自由で開かれたインド太平洋、平和と安定の確保など、現在世界が直面している課題に対処し、国際秩序を維持するためには、米国のリーダーシップが必要不可欠だ」と強調した。
バイデン氏については、副大統領時代の2016年のオーストラリア訪問に触れ、「長年にわたってオーストラリアの良き友人だ」と表現し、「多国間制度や民主主義の強化に対するバイデン氏のコミットメントを歓迎する」と述べた。モリソン首相はまた、米新政権と協力して、新型コロナウイルスと戦い、世界経済の回復を促進するとともに、世界の温室効果ガス排出量を削減する新たな技術の開発など、気候変動問題においても協働する、とした。
オーストラリア国内主要紙は、バイデン氏が2050年までに経済全体で温室効果ガスの排出をネット・ゼロにする政策を掲げていることから、オーストラリアも長期的な排出削減目標を設定する必要に迫られることになる、と報じている。オーストラリアはこれまで、2030年までに排出量を2005年比で26~28%削減するとの目標を定めているが、カーボンニュートラルの達成に向けた具体的な目標についてはコミットしていない。
産業界は対中政策の動向を注視
オーストラリア経済界を代表するオーストラリア産業グループ(Aiグループ)のインズ・ウィロックス代表は、バイデン氏の気候変動とエネルギーに関する政策を評価し、「他国が同じ方向を目指して行動することを促進する」と期待を寄せた。また、米新政権による対中政策の動向を注視しているとして、「今後、米中の経済関係を再構築するために、中国がオーストラリアからの輸入を、米国からの輸入に代替する可能性がある」と懸念を示した。
(住裕美)
(オーストラリア、米国)
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