北部ティグライ州に非常事態宣言

(エチオピア)

アディスアベバ発

2020年11月09日

エチオピア政府は11月4日、同国北部のティグライ州に6カ月間の非常事態宣言を発出した。同州では4日からインターネットを含む通信が遮断されており、州都メケレへの航空便は運航を停止している。政府報道によると、ティグライ州に駐屯する国防軍が「ティグライ人民解放戦線(TPLF)」の攻撃を受けたことに対して、アビィ・アハメド首相が国防軍に反撃を命じた。衝突が激化・長期化した場合、国内問題にとどまらず、周辺国を含む地域の安定を損ないかねない。国連外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、EU、米国などは相次いで速やかな緊張緩和と平和的な手段による紛争解決を求めている。

TPLFは1995年のエチオピア連邦民主共和国成立に主要な役割を果たしており、連邦政府で2018年にアビィ首相が選出されるまでは、連合与党「エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)」の主流派だった。しかし、アビィ首相が2019年12月にEPRDFを発展改組した「繁栄党」には参加していない(関連ブラック ジャック ディーラー)。新型コロナウイルスの拡大懸念から8月に予定されていた国政選挙が延期された中(2020年4月15日記事参照)、TPLFは連邦議会による連邦政府の任期延長(2020年6月12日記事参照)に反対し、9月にはティグライ州で独自に州選挙を実施して圧勝、引き続き同州の行政を担っている。しかし、連邦政府はこの選挙を違法とする立場で、連邦政府と州政府が互いの正統性を非難する事態に陥っていた。最近では、連邦政府がティグライ州への地方交付金の見直しを示唆し、議会ではTPLFをテロリスト指定すべきとする議論が出る一方、ティグライ州政府は同州に駐屯を命じられた国防軍幹部を到着した空港で追い返すなど、両者の溝はますます深まっていた。

(関隆夫)

(エチオピア)

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