セルビア、第2次ブルナビッチ内閣が発足

(セルビア)

ウィーン発

2020年11月04日

第2次アナ・ブルナビッチ内閣が10月28日に発足した(添付資料表参照)。アレクサンダル・ブチッチ大統領が10月5日、次期首相としてアナ・ブルナビッチ現首相を再指名、同28日にセルビア国民議会(一院制、定数250)で承認された。なお、6月21日に実施されたセルビア議会選挙で(2020年6月26日記事参照)、ブチッチ大統領率いる中道右派・与党の「セルビア進歩党(SNS)」は60%を超える得票率を得て大勝していた。ブチッチ大統領は首相指名が遅れた理由として、各政党との党首会談や世界各国の首脳との会談が続いていたため、と説明。大統領は首相指名に当たり、ブルナビッチ首相に対し、人権保護などを担当する省庁(人権・少数民族権利・社会対話省)、および家庭や福祉を担当する省庁(家族福祉・人口動態省)を新設すること、女性閣僚を50%登用することなどを指示していた。

また、ブチッチ大統領は、議会承認に先立つ10月20日に、新内閣は短期間で成果を見極めるために、最長でも次回の大統領選挙が行われる2022年4月3日までの「期限限定内閣」とする意向を発表するとともに、今まで連立を組んできたセルビア社会党(SPS)に加え、今回の選挙で初めて国政入りしたセルビア愛国同盟(SPAS)とも連立を組むことで合意した、と述べていた。

ブルナビッチ首相は10月28日、基調演説を行い、20日に行われたSNSの党大会後に同大統領が発表していた以下の6項目を重点項目として盛り込んだ。

  1. 主権国家としての独自外交政策堅持
  2. 国民の健康を守るための医療システム強化
  3. セルビア経済・産業基盤の強化
  4. コソボのセルビア人の人命保護
  5. 組織犯罪のさらなる取り締まり強化
  6. EU加盟のための「法の支配」の改革の加速

なお、セルビア議会の今後の運営は、新内閣がSPSやSPASとの連立以外に、少数民族政党特別枠で国政入りした主な民族政党とも協力体制を組むことから、ほぼ「野党不在」といった状態になることが予想される。

(鈴木秀男)

(セルビア)

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