中・東欧で新型コロナ再拡大、死者数も過去最高水準に

(チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、中・東欧)

欧州ロシアCIS課

2020年10月06日

中・東欧では、新型コロナウイルスの感染が再拡大している。主要5カ国(チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スロバキア)の1日当たりの新規感染者数は増加傾向を続けており、「第2波」に直面している。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、10月4日時点での1日当たりの新規感染者数は多い順に、チェコ2,554人、ポーランド2,367人、ルーマニア2,064人、ハンガリー858人、スロバキア704人となっている。

この5カ国の過去14日間における人口10万人当たりの新規感染者数の推移(添付資料図1参照)をみると、チェコ、ハンガリー、スロバキアでは、3月から4月にかけて感染拡大の第1波が到来、いったんは落ち着いた状態を保っていたが、9月に入って再び増加し、第1波を上回る勢いで急拡大している。特にチェコでは、10月4日時点で303.3人を記録しており、欧州域内ではスペインの319.3人に次いで2番目に高い。ポーランドとルーマニアでは3月以降、増減を繰り返しながらも増加傾向を示しており、ポーランドでは9月中旬に入って急激に増加している。

懸念される点として、死者数が足元で急増していることだ。過去14日間における人口10万人当たりの新規死者数の推移(添付資料図2参照)をみると、ルーマニアでは増減があるものの、高水準が続いており、10月4日時点ではマルタの4.1人、スペインの3.4人に次いで、欧州域内3番目の2.8人だった。チェコの状況も深刻だ。9月下旬には第1波のピークを上回る上昇が続いており、医療体制の逼迫に直面している。ハンガリー、ポーランド、スロバキアでも9月以降の感染再拡大に伴い、死者数も増加基調にあり、4月末のピーク時に迫る勢いだ。

感染拡大防止と経済活動の両立を図るべく、各国とも8月以降は局地的に感染が拡大している地域を対象に感染防止策を導入し、経済への影響を最小限に抑えることを目指している。しかし、感染者数や死者数の増加に歯止めがかからないことから、スロバキアでは10月1日、チェコでは同5日から2度目の非常事態宣言を発令し、全国一斉に集会人数の制限やイベント開催の禁止などの規制措置再導入に踏み込んだ(2020年10月2日記事参照)。ほかの3カ国でも状況は刻一刻と変化していることから、各国政府は規制の再強化を検討している。

(山根夏実)

(チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、中・東欧)

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