追加制限措置を導入、新型コロナ第2波への警戒感高まる

(ドイツ)

ベルリン発

2020年10月21日

ここ数週間の新型コロナウイルス感染者数の再拡大を背景として、感染の連鎖を抑制し医療機能の崩壊と広範囲の再ロックダウンを回避するため、ドイツ連邦政府および州政府は10月14日、新たな防疫措置について合意した。主な合意事項は以下のとおり。

○感染防止のための行動ルールの徹底

  1. 1.5メートルの社会的距離の確保
  2. 手洗いなどの保健衛生措置
  3. マスクの着用
  4. 新型コロナウイルス警告アプリの活用
  5. 閉鎖空間での定期的な換気

○1週間の10万人当たり感染者数が35人を超える場合

  1. 接触人数制限(公共空間では25人、私的空間では15人まで。イベントの参加人数上限の厳格化)
  2. 公共空間でのマスク着用義務の強化
  3. 飲食店の閉店時刻規制の導入

○1週間の10万人当たり感染者数が50人を超える場合

  1. 接触人数制限(公共空間・私的空間とも10人まで。イベントの参加人数を最大100人に制限)
  2. 飲食店の午後11時閉店、および午後11時以降の酒類販売の禁止。

○以上の措置を採用して10日経過しても感染者数が減少しない場合、公共空間での接触人数を5人または2世帯までに限定。

○1週間の10万人当たり感染者数が50人を超えるドイツ国内の地域への不要不急の旅行の自粛を要請。該当地域からの旅行者に対する宿泊制限措置(注)については、秋休み終了(11月8日)後に再評価を実施。

○国外の「リスク地域」からの入国者の隔離措置を14日間から原則10日間に短縮。ただし、入国5日目以降のPCR検査で陰性となった場合は、その時点で隔離終了。

○事業制限を受ける企業への連邦政府による経済的支援の拡大、連邦政府や連邦軍などによる州の保健当局の支援、ワクチン開発・製造・調達の推進など

以上の合意を踏まえ、具体的な制限措置は各州が実施する。

ドイツ産業連盟(BDI)は合意内容に対し、「連邦政府と各州はより緊密に連携しなければならない。宿泊規制などの国内の移動制限について調整が必要。バラバラな各州の対応が経済への負担となり、経済と雇用を不安定化させている」「ビジネス旅客への不必要に長い隔離措置は企業活動への負担となり、回避すべき」と述べた。

また、旅行者の宿泊禁止措置の導入に反発していたドイツホテル・飲食店業連盟(DEHOGA)は、規制の導入によりホテル経営者も旅行客も混乱しており、宿泊制限措置の停止に合意できなかったことは容認できない、と反発した。

なお、バーデン・ビュルテンブルク州行政裁判所は10月15日、宿泊制限措置について、基本法11条に基づく移動の自由への過剰な制限なため、規制差し止めの仮処分命令を下した。同日、ニーダーザクセン州行政裁判所も同様の命令を下している。

(注)連邦政府と州政府は10月7日に、該当地域からの旅行者は宿泊の際、陰性証明の提示を義務付けることに合意していた。

(田中将吾)

(ドイツ)

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