ウィーン市議選で市長率いる社民党圧勝、新型コロナ対策で政府と対立も

(オーストリア)

ウィーン発

2020年10月15日

オーストリアの首都ウィーン市で10月11日、市議会議員選挙が行われ、ミハエル・ルートビッヒ市長率いる社民党が得票率を2015年の前回選挙より2.0ポイント増の41.6%に伸ばし、大差で第1党の地位を保った。連立パートナーの緑の党が14.8%(3.0ポイント増)、リベラル派のネオスも7.5%(1.3ポイント増)と得票率を伸ばした。

一方、前回30.8%を得票した極右の自由党は、前党首のスキャンダルや党の分裂が影響し、7.1%(23.7ポイント減)と惨敗した。多くの自由党支持者の票が今回、中道右派の国民党に流れたとみられ、その結果、国民党の得票率は20.4%(11.2ポイント増)となり、第2党に躍進した(添付資料表参照)。社民党は引き続き緑の党との連立を継続する可能性が高いとみられている。新型コロナウイルス感染拡大を受け、郵便投票の割合が約40%に上昇し、投票率は65.3%と過去2番目に低かった。

今回の選挙は、従来は主な争点だった環境保護や移民問題の影が薄くなり、新型コロナウイルス対策が主要なテーマとなった。ウィーン市では感染者数が拡大しており、ドイツなど欧州数カ国がウィーン市を感染リスク地域に指定したことを受け、政府与党の国民党はウィーン市の新型コロナウイルス対応について、レストランやバーの閉店時間が遅いことや、PCR検査の結果判明に時間がかかり過ぎていることなどを厳しく批判したが、選挙結果をみると、ウィーン市独自の新型コロナウイルス対策が支持されたことがわかる。

現在、オーストリアでは1日当たりの新規感染者数が過去最多を記録していることを受け、政府与党の国民党はさらなる対策を検討しているが、ウィーン市では社民党が強い支持を得たことから、新型コロナウイルス対策をめぐる両党の対立も予想される。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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