EU研究開発支援枠組みホライズン・ヨーロッパ、正式採択へ前進
(EU)
ブリュッセル発
2020年10月01日
EU理事会(競争力担当閣僚理事会)は9月29日、次期研究開発支援プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」(2021~2027年)を実施するEU規則案に大筋合意したと発表した。現行の同支援プログラム「ホライズン2020」(2014~2020年)の最終年に当たり、EU議長国ドイツは2021年初から遅滞なく時期プログラムに移行すべく、調整を急いでいる。29日の理事会では主要な柱ごとの予算の振り分けについて合意に達した。
予算総額は現行プログラム並み、EUの産業競争力とイノベーションを重視
ホライズン・ヨーロッパの予算規模は、7月21日のEU首脳会議で合意した809億ユーロ(2018年の物価水準)に基づいており(関連ブラック ジャック やり方)、現行のホライズン2020とほぼ同額だ。予算は、主に以下の3つの柱に振り分けられている(注1)。
1.エクセレント・サイエンス(233億ユーロ):最先端研究を対象とする欧州研究会議(ERC)、研修機会を提供するマリー・キュリー・アクション、研究インフラ整備を対象。
2.グローバルな課題と産業競争力(472億ユーロ):(1)健康、(2)文化・創造性・創設的な社会、(3)安全な社会、(4)デジタル・産業・宇宙、(5)気候・エネルギー・モビリティー、(6)食糧・バイオエコノミー・資源・農業・環境の6つのクラスター領域支援。
3.イノベーティブな欧州(119億ユーロ):ホライズン2020下で試験運用されている欧州イノベーション会議(EIC)の本格的な立ち上げ、産学官連携を推進する欧州イノベーション・エコシステム、独立したEU機関である欧州イノベーション技術機構(EIT)を通じた支援。
日系企業の欧州現地法人も助成対象になるほか、日本の機関も日欧共同公募などのかたちで助成を受けることができる(注2)。なお、EU理事会ではEU域外国がホライズン・ヨーロッパに参加できる要件についても議論し、合意した規則案には、正当な理由があれば、EUと加盟国の戦略的利益を保護するために、当該非EU加盟国自身が直接的あるいは間接的に支配する企業・機関の参加を排除することができること(規則案第18条5項)や、非EU加盟国の企業・機関が参加する場合は可能な限り、当該国の同様の支援プログラムにEU企業が参加することを認めている、すなわち、相互主義が確保されていること(規則案第12条3項)などを規定している。
(注1)予算内訳の詳細はホライズン・ヨーロッパ設立規則案第9条に規定。金額は名目額のため、2018年基準の809億ユーロには一致しない。
(注2)現行のホライズン2020では、日欧産業協力センターの「NCPジャパン」が日本のコンタクトポイントとなっている。
(安田啓)
(EU)
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