在中ドイツ企業、新型コロナによる業績への影響懸念
(中国、ドイツ)
中国北アジア課
2020年10月20日
中国に進出したドイツ企業で構成する中国ドイツ商会は7月29日、230の会員企業に対して新型コロナウイルス感染拡大の影響などを把握すべく、6月18~30日に実施したアンケートの結果を発表した。それによると、生産能力について「既に正常に戻った」との回答は72%、「2020年第3四半期(7~9月)末に戻る」は15%となった(注)。新型コロナウイルスの影響を脱し、生産活動が正常化してきたことがうかがえる。
その一方で、需要回復については「述べるには時期尚早」が37%、「2020年末」が22%で、「既に正常に戻った」は24%にとどまった。販売についても「述べるには時期尚早」が34%、「2020年末」が24%で、「既に正常に戻った」は23%だった。在中ドイツ企業が今後の販売などの展開に不安を感じていることがみえる。
新型コロナウイルスが2020年上半期の収益にどの程度影響を与えているかについては、「20%以上の減少」が55%、「10%未満の減少」が27%と8割以上が減少と答えた。「影響がない」は9%にとどまった。また、2020年通年の業績目標については、「下方修正」が62%と高く、「維持」が32%だった。2020年の先行きに厳しい見通しを示した企業が多い。
新型コロナウイルスのビジネス戦略に与える影響については(複数回答)、「投資決定の先延ばし、撤回」が51%、「現状の戦略から不変」が38%となった。「サプライチェーンの現地化加速」が19%、「中国での研究開発増加」が11%、「中国の経営機能の現地化加速」が9%となるなど、新型コロナの感染拡大により、人的・物的往来に関わる制限がなされた(ている)ことを受け、現地化の意識が従来よりも高まったとみられる(添付資料図参照)。また、生産などの機能の中国からの移転に注目が集まっているが、「機能の中国外への移転」が6%、「研究開発を本部もしくは中国外の拠点へ移転」が3%と少数の回答にとどまった。
新型コロナウイルスの具体的な現在の影響については(複数回答)、「渡航制限」(89%)、「需要の減少」(66%)、「キャッシュフロー問題」(36%)、「ビジネスおよび投資決定の不確実性と困難」(36%)が続いた。
(注)文中に別途説明がない場合は、質問に対して単一回答。
(宗金建志)
(中国、ドイツ)
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