警戒度最高のレベル5に引き上げ、行動規制を再強化
(アイルランド)
ロンドン発
2020年10月22日
ミホール・マーティン首相は10月19日、新型コロナウイルス感染症に対するアイルランド全土の警戒度を最高レベルの5に引き上げると発表した。措置は10月21日午前0時から6週間にわたり講じられる。9月の半年間の感染対策計画(2020年9月17日記事参照)発表時には全国をレベル2に設定していたが、その後の感染の拡大を受けて10月6日には全国でレベル3、10月15日には北アイルランドに接する3県(キャバン、ドニゴール、モナハン)でレベル4への引き上げを行っていた。今後数週間でのさらなる感染拡大の可能性を示唆した保健省の国民公衆衛生緊急班(NPHET)による助言を踏まえ、今般レベル5への移行を決定した。
具体的には、建設関連や製造業など出勤が必要不可欠と定められた一部職種を除き、在宅勤務を要請。また、原則外出を禁止し、外出は自宅から半径5キロ以内での運動などに制限される。屋内外でのイベントは開催不可となり、さらに、自宅(敷地内を含む)への他世帯の訪問なども禁止される一方、例外として単身、片親世帯が他の世帯と形成する疑似世帯「サポート・バブル」内での交流は可能。また、スーパーマーケットや薬局などの必要不可欠と定められた店舗以外は閉鎖され、レストランやパブなどの飲食店は持ち帰りと宅配のみ認められる。学校・託児施設は引き続き開校される。
今回の行動規制再強化による経済活動への影響緩和のため、政府は雇用対策の一部内容を変更した。パンデミック失業手当(Pandemic Unemployment Payment:PUP)は、失業以前に週400ユーロ以上の収入があった失業者に対する支給額を週300ユーロから350ユーロへ増額し、10月27日以降の支給から反映される。また、事業者が雇用を維持することを支援するための被雇用者給与補助スキーム(Employment Wage Subsidy Scheme)の支給額も変更、週400ユーロ以上の収入がある被雇用者分についてはPUPと同様に週350ユーロに引き上げる。なお、政府は今後6週間で上記2つの支援策と、政府の各種制限措置により売り上げが減少した企業向けのCovid制限補助スキーム(Covid Restrictions Support Scheme)にかかる費用を計20億ユーロと試算している。
(杉田舞希、尾関康之)
(アイルランド)
ビジネス短信 1ec162900ceec518