経済活動再開の最終段階「第3段階」、年内に移行へ

(シンガポール)

シンガポール発

2020年10月23日

シンガポールの新型コロナウイルス政府タスクフォースは10月20日の会見で、経済活動再開の最終段階の第3段階(フェーズ3)に向けたロードマップ(行程表)を発表した。2020年内にも第3段階に移行する見込み。効果的な治療薬やワクチンが普及するまで1年以上継続する見通しだとしている。

同国では新型コロナウイルス感染防止のため、4月7日から6月1日まで必須サービスを除く職場を閉鎖する「サーキットブレーカー」を実施し、6月2日から3段階に分けて経済活動を再開している。6月19日から第2段階(フェーズ2)に移り、感染防止のための規制を段階的に解除している。発表によると、第3段階に移行する前提条件として、(1)マスク着用や対人距離の確保など感染防止対策の継続、(2)短時間で感染の有無を把握できる迅速検査の導入など検査体制の拡充、(3)追跡アプリと端末の導入拡大を挙げた。

検査の拡充について政府タスクフォースは、大規模イベントで試験的に抗原検査の導入を検討していることを明らかにした。抗原検査はPCR検査に比べて迅速に結果が出る。イベント参加者は事前に抗原検査を受け、検査結果が陰性であれば参加が認められる。タスクフォースは抗原の迅速検査を試験導入するイベントの一例として、10月26~30日に開催する国際展示会・会議「シンガポール国際エネルギー・ウイーク(SIEW)」を挙げた。試験導入が成功すれば、同様の検査の導入をさらに拡大する方針だ。

また、政府タスクフォースは、映画館や飲食店、ライブイベント、ショッピングモールの入場の際に追跡アプリと端末の「トレーストゥゲザー」を使っての入場を段階的に義務付けていく計画を明らかにした。映画館については10月26日から順次、トレーストゥゲザーでの入場が義務付けられる

政府タスクフォースは上掲の条件を前提として、第3段階に移行するとしている。第3段階では、私的な集会の参加人数について、上限を現行の5人から8人に緩和。また、礼拝などの宗教の集まりや結婚式については、1区画50人を上限として複数区画での開催を認める。一方、バーやカラオケ、パブなど感染リスクの高い場所については、第3段階でも引き続き閉鎖する。ただし、一部で迅速検査の導入など厳しい感染防止対策を導入した上で、営業継続が可能か検討するとしている。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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