新型コロナ感染状況が悪化、大臣交代で制限強化へ
(チェコ)
プラハ発
2020年09月24日
チェコでは9月に入り、新型コロナウイルス感染者数が急激に拡大している。9月8日に初めて1日当たりの新規感染者数が1,000人を超え、17日には過去最多の3,129人を記録した(添付資料図参照)。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、9月22日現在、チェコの過去14日間における人口10万人当たりの新規感染者数は207.0人で、フランスの192.6人を上回り、スペインの310.9人に次いでEUワースト2位となっている。特にプラハ市では9月22日現在、過去7日間の感染者数の割合は10万人当たり217.9人で、同市は国内で唯一、国内感染警戒レベル(注)が「市中感染が拡大あるいは維持されている(赤)」に指定されている。
この状況を受けて、チェコ政府は9月21日、6月11日に解散した危機対策本部を再び招集した。アレナ・シレロバー財務相兼副首相は閣議後の記者会見で、「同本部は主として政府と各州知事とをつなぐ役割を果たし、各州との調整を行う」機関として機能するものと説明した。
また同日、アダム・ボイチェフ保健相が辞任、後任に政府の保健部門R&D担当官ロマン・プリムラ氏が就任した。新大臣に任命されたプリムラ氏は、もともと疫学の専門家で、2020年春の新型コロナウイルス第1波の拡大防止対応の際には、保健省副大臣として危機対策本部長を務め、国民から厚い信頼を得ていた。同相は、就任記者会見において、経済的な影響を及ぼす制限を導入することは極力避けたいとしつつも、近日中により厳格な集会制限やレストランやバーの営業時間の短縮を行う可能性を示唆した。
9月22日現在のチェコにおける集会人数制限は、屋外1,000人まで、屋内500人までとされており、18日の午後6時以降、屋内空間に一度に10人を超える人が集まる集会においては、各自が着席する場所があることが必須条件となった(ただし見本市、展覧会などは例外)。
そのほか、午前0時から午前6時までの飲食店の営業は禁止されており、公共の屋内空間においてはマスク着用義務が再導入されている。ただし職場においては、2メートルの対人距離を確保できる場合には適用されない。
(注)8月3日以降、チェコ保健省は国内の各地区の感染状況に応じて、リスクの低い順に白・緑・黄・赤の4色で感染警戒レベルを分類している。
(中川圭子)
(チェコ)
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