カラチで53年ぶりの記録的豪雨

(パキスタン)

カラチ発

2020年09月01日

パキスタン全土が8月27日、モンスーンの大雨に見舞われた。各種報道によると、カラチでは12時間雨量が223.5ミリに達し、1967年の記録(211.3ミリ)を53年ぶりに塗り替える豪雨となった。市内全域は冠水し、軍が出動して孤立した人々を救出する事態となった。市内の広範囲で停電、携帯通信や飲用水の停止などが発生し、都市機能がまひ。シンド州政府は急きょ、28日を休日とした。停電は、場所によっては72時間以上続いた。死者も多数発生し、カラチでは溺死、垂れ下がった電線による感電死、建物の崩壊などで、少なくとも19人が死亡した。下水道や排水溝が十分に整備されていないカラチでは、いったん雨が降るといたるところで冠水が発生するが、今回の豪雨では都市インフラの脆弱(ぜいじゃく)性が完全に露呈した。

日系メーカーに大きな被害はなし

日系の四輪・二輪メーカー4社にジェトロが被害状況を聞き取ったところ、生産設備が浸水するなどの甚大な被害は出ていなかった。しかし、「豪雨日の当日は多数の従業員が帰宅困難になった」「工場が浸水した」「被害の詳細、従業員やサプライヤーの被災状況は、落ち着くまでわからない」などの声が聞かれた。

日中の最高気温が33度程度になるカラチでは、今後、衛生や病気の問題が発生する懸念がある。また、被災して家財やバイクを失うなど困窮した人が、盗みなどの犯罪に手を染めることなども予想され、新型コロナウイルスの感染とともに、注意が必要な状況となっている。

写真 豪雨下の市内道路の様子(ブラック ジャック 遊び方撮影)

豪雨下の市内道路の様子(ジェトロ撮影)

(山口和紀)

(パキスタン)

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