デジタル技術の活用支援で経済回復を目指す
(オーストラリア)
シドニー発
2020年09月30日
オーストラリアのスコット・モリソン首相は9月29日、経済復興策の一環として、デジタル技術の活用によるビジネスの成長と雇用の創出を支援するため、約8億オーストラリア・ドル(約600億円、豪ドル、1豪ドル=約75円)を投資する「デジタル・ビジネス計画」を発表した。
この計画は、10月6日に発表される2020/2021年度(2020年7月~2021年6月)予算案(注1)に組み込まれる。主な施策は以下のとおり。
- 各種の電子行政サービスに対して横断的に利用可能なIDプログラム「myGovID」などのデジタル認証システムの拡充。将来的には民間部門との相互認証を目指す。
- 法人登記手続きの改善。オーストラリア国税庁や証券投資委員会などが進める近代化プログラムを完了する。
- 銀行やエネルギー業界での消費者データ権(関連ブラック ジャック トランプ)の展開促進。
- 農業、鉱業、物流、製造業などの主要産業での実証実験など、第5世代移動通信システム(5G)の展開加速化。
- 専門家のアドバイスや研修コースの提供などによる中小企業のデジタル技術活用支援。
- コンプライアンス対策に資するレグテック(RegTech)(注2)やブロックチェーン技術の活用促進。
- フィンテックの無料 ゲーム ブラック ジャック展開支援と対内投資誘致。
- デジタル技術に関する国際標準化戦略の強化。
- 電子インボイスの普及促進。2022年7月1日までに連邦政府機関での電子インボイス採用を義務化し、企業間取引における義務化についても検討する。
- 新型コロナウイルス対策として時限的に認めている株主総会のオンライン開催や電子署名の恒久化の検討。
- 現行の決済システムやプリペイド・マネー(Stored Value Facility)に関する規制の見直し。
モリソン首相は「『新型コロナウイルス禍』でオンラインへの移行が急速に進み、10年分に相当するデジタル変革がこの数カ月で進展した」と述べ、「デジタル・ビジネス計画によって、時代遅れとなった規制を取り払い、中小企業の競争力を強化し、オーストラリアの経済回復を支援する」と強調した。
(注1)例年、次年度の予算案は5月の第2火曜日に公表するが、新型コロナウイルスの感染拡大とその経済的影響によって不確実性が高まっていることから、2020/2021年度予算案の公表は10月6日まで延期していた。
(注2)規制(Regulation)と技術(Technology)を組み合わせた用語で、新たなIT技術を活用して複雑化・高度化が進む金融規制に対応する金融ITソリューションを指す。
(住裕美)
(オーストラリア)
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