欧州中銀、政策金利を据え置き、「新型コロナ危機」対策も現状維持
(ユーロ圏、EU)
デュッセルドルフ発
2020年09月11日
欧州中央銀行(ECB)は9月10日、ドイツ・フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、政策金利を据え置き、量的緩和政策についても現状を維持すると発表した。政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.00%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)を0.25%、預金ファシリティー金利をマイナス0.50%にそれぞれ据え置く。また「新型コロナ禍」での緊急対策として打ち出した資産購入プログラム「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」については、実施期間の延長や規模拡大の観測も出る中、1兆3,500億ユーロの規模で、2021年6月末まで継続する姿勢を維持した。
ユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)についても、月額200億ユーロ規模での債券・国債購入のほか、1,200億ユーロの追加的な資産購入を2020年12月末まで継続する。緩和政策の効果を高めるため、資産購入は金利の引き上げ開始前まで「必要な限り」継続するとし、APPの下で購入し保有する債券・国債の再投資は主要政策金利の引き上げ開始以降も必要な限り続ける方針をあらためて示した。
クリスティーヌ・ラガルドECB総裁は記者会見でユーロ圏の経済活動について、「前回7月の会合以降、力強い回復が見られるものの、危機前の水準を大きく下回ったまま」と指摘。今後も不確実な状況が継続し、経済の回復は新型コロナウイルス感染拡大の状況と封じ込め政策に大きく依存するとした。また総裁は、ユーロ高が続く現状について明確なコメントは避けたものの、物価への影響を注意深く見守る姿勢を示した。
ユーロ圏内の経済成長予測をわずかに上・下方修正
記者会見に合わせて発表したECBスタッフマクロ経済予測では、2020年のユーロ圏の実質GDP成長率を前回(2020年6月)予測値のマイナス8.7%からマイナス8.0%にわずかに上方修正した一方、2021年は前回予測値の5.2%から5.0%に、2022年は3.3%から3.2%に下方修正した(添付資料表参照)。消費者物価指数(HICP)の上昇率については、2020年は0.3%と前回発表の予測を維持。2021年は1.0%、2022年は1.3%とした。
(ベアナデット・マイヤー、森悠介)
(ユーロ圏、EU)
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