集合住宅近代化法案を可決、EV充電設備設置が容易に
(ドイツ)
欧州ロシアCIS課
2020年09月30日
ドイツ連邦議会(下院)は9月17日、集合住宅近代化法案を可決した。集合住宅へのEモビリティ用の充電設備の導入を容易にすることや、住宅のバリアフリー化、デジタル化など時勢にあった住宅の改修を容易にすることを目的として11月1日に施行される。
Eモビリティ普及のためには、充電インフラの拡充が必須とされる。特に、電気自動車(EV)の充電の85%は自宅や職場で行われることを踏まえ、私的施設での充電設備不足が普及に向けての大きな課題となっている。1951年に施行された現行の住宅所有権法は、Eモビリティの拡大や近年の人口動態の変化などの情勢を踏まえたものでなく、集合住宅の改修工事の合意を得るための障壁が高く、関連法改正の必要性が指摘されてきた(関連ブラック ジャック サイト)。産業界の関心も高く、ドイツ自動車産業連合会(VDA)、連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)、連邦住宅・不動産企業連盟(GdW)は、7月8日に発表した集合住宅での充電に関する共同提言の中で、Eモビリティは交通分野における気候変動対策の中心的な構成要素で、普及促進のためには民間の充電インフラ拡充が重要だ、と指摘した。その上で、集合住宅での充電インフラ整備のため(1)関連法の整備、(2)集合住宅への充電設備設置の支援策の拡充、(3)電力会社や不動産会社、自動車メーカーなど関係者による共同実施事業を提案している。
これまでの法制度下では、集合住宅にEモビリティ用の充電設備設置などの工事を行う場合、集合住宅内の各部屋の所有者全員または大多数の同意が必要とされる。新たな法制度下では、充電設備導入を希望する各部屋の所有者が、個別に設置費用を負担することにより設置が可能となる。具体的には、3分の2の賛成で集合住宅内の部屋所有者全員で経費を分割しての導入、これに届かない場合でも過半数の賛成が得られれば、賛同者による経費分担により導入が可能となる。また、賃貸の場合でも、入居者が所有者から許可を得て、入居者負担で充電ステーションを設置することも可能になる。
また、EV充電設備に関する工事だけではなく、高速インターネット回線の設置、バリアフリー化の工事などにも適用され、集合住宅の近代化を後押しする。
(作山直樹)
(ドイツ)
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