欧州委、ブラック ジャック サイト
(EU、米国)
ブリュッセル発
2020年08月05日
欧州委員会競争総局は8月4日、米国グーグルによる、ウェアラブル端末開発の米Fitbit合併に対する合併審査の第1次審査を終え、EU市場への影響に関して懸念があるとして、より詳細な第2次審査に進むと発表した。欧州委は原則として12月9日まで(注)に、合併を承認するか禁止するかを決定する。
合併がもたらすデータにおける優位性の競争法上の影響が論点
欧州委は、この合併がEU域内市場でのオンライン広告サービスやデジタル広告最適化のための分析サービスに及ぼす影響について懸念があり、さらなる審査の必要と判断した。欧州委によると、ウェアラブル端末から得られるデータによって、グーグルはオンライン広告市場でデータ上の優位性を高め、他社の参入や事業拡大を困難にする恐れがあるという。さらに、両社のデータが合算されることによる、現状では未熟な欧州のデジタル・ヘルスケア産業への影響や、他社のウェアラブル端末のグーグル・アンドロイドOSへの互換性確保に不利益が生じないか、といった点も審査の対象とする。本件は合併後のデータ上の優位性が競争に及ぼす影響を審査する合併審査事案として注目される。
グーグルが関与する合併で、過去に欧州委が合併審査を行った事案は過去に3件あり、2件は第1次審査で〔2016年:フランスのサノフィとのジョイントベンチャー設立、2012年:米モトローラ・モビリティー買収(※後に売却)〕、1件は第2次審査で(2008年:米ダブルクリック合併)、いずれも承認されている。
欧州委は年間300~400件程度の合併審査を行っている。大半は1次審査で承認され、2次審査に進む事案は年間10件前後だ。2019年にはシーメンスとアルストムの合併禁止を含む3件について合併禁止命令を出した。これまでの欧州委の合併審査結果の件数は、競争総局ウェブサイトの統計から確認できる。
(注)合併第2次審査は原則として90営業日以内に行うため、12月9日を予定するが、105営業日まで延長が可能。
(安田啓)
(EU、米国)
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