トランプ米大統領、2期目に向け共和党大統領候補の指名を受諾

(米国)

ニューヨーク発

2020年08月31日

ドナルド・トランプ米国大統領は、共和党全国大会初日の8月24日に大統領候補として正式に指名され、最終日の27日、ホワイトハウスで指名受諾演説を行った。1時間以上に及んだ演説では、党大会直前に発表した2期目に向けた公約外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを随所に散りばめ、民主党のジョー・バイデン候補を批判して対立軸を鮮明にさせた。

8月24日から4日間にわたって主にオンラインで開催された共和党大会では、トランプ政権の閣僚・高官、大統領に近い共和党の連邦議員らが相次いで登壇し、主要な政策分野で一貫した主張を行い、民主党との相違を際立たせた。経済関係では、民主党は4兆ドル規模の増税を行おうとしているが、共和党はさらなる減税を行う、と主張した。また、民主党は化石燃料を廃止し関連産業の雇用を失わせようとしているが、共和党は米国のエネルギー自立を実現したことや、民主党は中国に融和的だが、共和党は強く立ち向かうといった点を比較し、強調した。トランプ氏も、これら主張を繰り返し「向こう10カ月で1,000万人の雇用を生み出す」と力説した。特に中国に関しては、バイデン氏個人との対比を意識し、「バイデンの政策はメード・イン・チャイナだが、私の政策はメード・イン・USAだ」とした。その関連で、雇用を中国から米国に戻す企業に対する税控除や、米国からオンライン ブラック ジャックへ雇用を流出させる企業への関税賦課の考えを示した。

また、トランプ氏と共和党が力点を置いたのが「法と秩序」の維持だ。トランプ氏は全米各地で続く反警察・反人種差別デモについて、民主党市長が統治する都市で暴力や略奪事件が起きていると指摘し、「民主党が無政府主義者らに寄り添いたいなら勝手だが、大統領である私はくみしない。共和党は米国の安全を保つ愛国的な英雄たちの代弁者であり続ける」と、強い大統領および共和党像の演出に力を入れた。26日に副大統領候補としての指名受諾演説を行った、マイク・ペンス副大統領も「大統領と私は常に、平和的なデモを行う米国市民の権利を支持する。しかし、暴動や略奪は平和的なデモではなく、銅像の破壊は表現の自由ではない。そうした行為を行った者は、司法の及ぶ最大限の範囲で訴追される」と述べた。

新型コロナウイルス対策に関しては、主要な世論調査で、政権の対応への支持率は半分を割っているが、トランプ氏は、ペンス氏が率いるタスクフォースを中心に矢継ぎ早に対策を打ってきた、と強調した。また、2020年末までのワクチン開発を目標に掲げ、全米各州での経済再開、学校の再開に期待を示した。

通例では、全国大会の際に党の綱領を採択するが、共和党全国委員会は「引き続き大統領の米国第一主義の政策を支持する」とし、2024年の全国大会まで新たな党綱領を採択しないことを表明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

(磯部真一)

(米国)

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