携帯大手MTS、ロシア初の5G免許を取得

(ロシア)

モスクワ発

2020年08月04日

ロシアの携帯通信大手MTSは7月28日、ロシアで初となる第5世代移動通信システム(5G)通信の営業免許を取得したと発表した。人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、AR/VR(拡張現実/仮想現実)などの技術を活用した5G通信サービスを企業向けに提供する考え(添付資料表参照)。製造業向けサービスを近く開始するとしている。

免許の対象地域は83の連邦構成体で、割り当てられた周波数は24.25~24.65GHz。免許の期間は2020年7月16日から2025年7月16日の5年間。免許発行機関である連邦通信・IT・マスコミ監督局(ロスコムナドゾル)ウェブサイトによると、免許発行から2年後の2022年7月16日までにサービスが開始される予定。

MTS含め大手携帯通信各社は2018年から5G通信の実証実験を行っている。MTSは中国の華為技術(ファーウェイ)とスマート交通システムや3Dホログラフィック都市間通信の実験を行っているほか、スウェーデンの通信機器メーカーのエリクソン、地場トラック大手カマズと協力し、カマズの工場でビデオ監視や会議システムの運用、遠隔での従業員研修などに取り組んでいる。

ロシアでの5G通信導入に際しての課題の1つとして対象となる周波数帯が挙げられる。今回の免許の対象となった周波数はミリ波と呼ばれ、ブラック ジャック ゲーム ルール伝送容量は大きいが障害物に弱いため、比較的狭いエリアの通信向けとされる。広いエリアに利用できる3.4~3.8GHz帯は国防省などによって利用され、5G通信向けには開放されていない。通信事業者や政府内からの要請もあり、プーチン大統領が調整に乗り出すまでに至った(特集:ロシア・デジタル経済政策とスタートアップ生態系ブラック)。経済紙「ベドモスチ」(7月28日)によると、2019年8月に安全保障会議が通信事業者への割り当てに反対、プーチン大統領もこれに同意したとされる。2020年春にも同会議で再検討されたが、通信事業者の要望は却下された。

(浅元薫哉)

(ロシア)

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