欧州自動車工業会、新型コロナの影響について「かつてない危機」と評価
(EU)
ブリュッセル発
2020年08月04日
欧州自動車工業会(ACEA)は7月30日、「2020-2021年自動車産業界ポケットガイド」を発表し、新型コロナウイルスの影響についても言及した。同ガイドはACEAが毎年、刊行するもので、欧州自動車産業界に関する最新統計データなどをまとめたものだ。
2020年通年の新車販売台数は25%減と予測
これによると、自動車生産を行うEU18カ国(注)における2019年の生産台数は1,850万7,834台で、世界の総生産台数の約20%を占めた。EU内には226の組み立て・生産工場が立地し、2018年はEUの製造業の労働人口の8.5%に相当する約270万人を雇用。これに直接作業者以外の雇用も含めると、自動車産業はEUの総労働人口の6.7%に相当する約1,460万人(2018年)を抱える産業部門だ。また、2019年のEUの輸出台数は561万731台で約740億ユーロの貿易黒字を生み出した。
新型コロナウイルスの影響については、年間を通じての影響はまだわからないとしながらも、「かつてない危機」と評するほど深刻だ。ACEAによると、EU加盟国および英国の各社の工場では、2020年3~5月の3カ月間、平均で30営業日の間、稼働停止を余儀なくされ、その結果、約110万人の雇用に影響がおよび、生産台数は240万台以上減少した。これは2019年の総生産台数の13%に相当し、ACEAは2020年の新車販売台数は前年比25%減となると予測している。エリック=マーク・フイテマ事務局長は、欧州経済の柱の1つである自動車業界の経済復興は、欧州経済全体の復興にとって必要不可欠だとし、EUおよび加盟国に対し、政治的、経済的、そして実務的な支援を早急に行うように求めた。
(注)離脱前の英国を含む。オーストリア、ベルギー、チェコ、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、リトアニア、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、英国の18カ国。
(滝澤祥子)
(EU)
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