250億ユーロ規模の新たな経済対策を発表、飲食業支援も

(イタリア)

ミラノ発

2020年08月26日

イタリア政府は、新型コロナウイルスにより打撃を受けた経済の復興のため、250億ユーロ規模の新たな経済対策を発表し、8月14日に官報に掲載した。115条に及ぶ本法令は「8月令」(Decreto Agosto)と名付けられ、教育からビジネス支援まで内容は多岐にわたる。雇用や企業支援に関する主な措置は以下のとおり(注1)。

  • 労働者の雇用と所得を保護するため、新型コロナウイルスの影響により業務を停止あるいは減少させた雇用主は、従業員の一時帰休時の給与補助を行う「通常給与補助金庫(Cassa Integrazione Ordinaria)」などの制度に、最大18週間まで申請することができる。対象期間は7月13日から12月31日までとする。
  • 特例として、民間の事業主(農業セクターを除く)について、上記の制度を利用せず、5月、6月に既に給与補助制度を利用していた場合、12月31日までの間、社会保険料を最大4カ月間免除する。
  • 本法令の施行後(注2)、新たな従業員を無期雇用で採用した事業主に対しては(農業セクター除く)、採用から最大6カ月間、社会保険料の支払いを免除する。

その他、特に大きな打撃を受けた観光・飲食・文化セクターに対しても支援措置を規定している。例えば、飲食業に関しては、業界の支援と食品ロス回避のため、6億ユーロ規模の基金を設置し、飲食業者(注3)がイタリア産原料の食料品を購入する際の補助金に充てることとなっている。

(注1)各制度の申請に当たっては、法令記載の適用条件の確認が必要。

(注2)「8月令」は8月15日から施行。

(注3)具体的には、業種コード(ATECO)の56.10.11、56.29.20、56.29.20が該当する。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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