米中、第1段階の経済・貿易協定の実施状況に関する閣僚電話協議を開催

(米国、中国)

ニューヨーク発

2020年08月26日

米国通商代表部(USTR)は8月24日、2月に発効した第1段階の米中経済・貿易協定(関連ブラック ジャック トランプ)の実施状況に関する両国の閣僚電話協議を開催したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。USTRの声明文によると、米国側はロバート・ライトハイザーUSTR代表とスティーブン・ムニューシン財務長官が、中国側は劉鶴・副首相が参加し、中国政府による知財保護強化の取り組みや金融・農業分野での米企業に対するビジネス障壁の撤廃に関する履行状況を確認したとしている。

米中間の協定文によると、両政府はUSTR代表と中国副首相をトップとする貿易枠組み部会を組成して、6カ月ごとに協定の実施状況などについて協議するとしている。声明文でも、今回の協議は「定期的に予定された」ものとしている。両政府は、中国側の制度改善の取り組みに加えて、協定内で中国が約束している米国製品の大幅な購入増に関しても協議したとしている。

協定文では、中国は協定発効から2年以内に、製造業、農業、エネルギー、サービス分野における米国からの輸入を、2017年の実績をベースに2,000億ドル増やすとしている。このうち、1年目に達成しなければならない輸入増は767億ドルとなっている。トランプ大統領は、2020年11月の大統領選挙における支持基盤への訴求も意識して、協定の中でもこの部分の成果を強調している。しかし、米国シンクタンクのピーターソン国際研究所による分析外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2020年7月までの中国の輸入ペースは目標額の半分に満たない状況だ。米中ビジネス協議会や在中国の米国商工会議所など主要な米国の業界団体は7月、中国による履行状況に遅れがみられるとして、両国政府に対して協定内容を実現すべくさらなる努力をするよう求める書簡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを送っている。

米中は、新型コロナの世界的な感染拡大以降、さまざまな分野で対立を激化させているが、第1段階の経済・貿易協定に関しては継続させる姿勢を維持している。トランプ政権で通商分野を担当していたケリー・アン・ショー氏は「両国関係が縮小していく中で、第1段階協定は輝く存在になった」と評している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版8月24日)。USTRは声明文の最後で、「両国は進展を確認し、協定の成功を確実にするために必要な策を講じていく」と締めくくっている。

(磯部真一)

(米国、中国)

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