EUの小売り部門の取引高、新型コロナ以前の水準に回復
(EU)
ブリュッセル発
2020年08月06日
EU統計局(ユーロスタット)は8月5日、EU27カ国とユーロ圏の6月の小売り部門の取引高(注)について、欧州で新型コロナウイルス感染症の拡大が始まる以前の2月の水準に回復したと発表した。各国でロックダウンなどの措置が解除され始めた5月にEUとユーロ圏それぞれ前月比18.3%増、20.3%増と大きく回復し、6月もそれぞれ同5.2%増、5.7%増となり、回復傾向が続いている。
消費者のオンライン購入志向が顕著に
品目別で見ると、6月、EUの食品・飲料・たばこの取引高は前月比2.2%減となったのに対し、自動車燃料は16.9%増、食品以外の製品は10.6%増だった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大が始まる前の2月と比較すると、食品・飲料・たばこは1.3%減と、「新型コロナウイルス危機」以前の水準にほぼ回復しているにもかかわらず、食品以外の製品については、いまだ大きな差がある。特に、テキスタイル・衣料用品・靴の取引高は22.4%減と、発表された商品カテゴリーの中でも2月と比較した落ち込みが依然大きかった。また、自動車燃料(12.5%減)、コンピュータ用品・書籍(8.3%減)、医薬品・医療用品(5.9%減)も2月の水準をいまだ下回ったままだ。
販売チャンネルについて、ロックダウン中も営業を続けていたスーパーは通常時と変わらない水準であるものの、休業を余儀なくされていた百貨店の売り上げは回復していない。一方で、オンライン販売は2月と比較すると17.4%増だった。ユーロスタットは「近年、オンライン販売は増加していたが、新型コロナ危機によって、その傾向がさらに拡大し、劇的に増加している」とした。
(注)国別と主要商品カテゴリー別に小売業種の取引高(turnover in retail trade)を物価変動要因や季節要因を調整した指数に基づく。
(滝澤祥子)
(EU)
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