フランス政府、企業内でのマスク着用を義務付け
(フランス)
パリ発
2020年08月26日
フランス政府は、企業内での新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、9月1日から企業内のオープンスペース型の執務室や会議室、廊下、更衣室など密閉された共有スペースにおけるマスク着用を義務付ける。労働・雇用・社会復帰省が8月18日に大枠を発表した。これまでは職場で1メートルの人的距離を確保できない場合のみ、マスク着用を義務付けていた。
同省によれば、8月18日時点で確認された268のクラスターのうち60余りが職場クラスターで、夏季休暇明けには各地で休暇を過ごした社員の職場復帰で感染がさらに広がる懸念がある。公衆衛生高等評議会は7月23日付の意見書で、空気中に漂う微粒子(エアロゾル)を介した新型コロナウイルス感染の可能性を認め、密閉された屋内施設でのマスク着用を推奨していた。
同措置の詳細について政府は、8月20日付で労使代表に提示した「新型コロナウイルス感染症への対応としての企業内での従業員の安全衛生確保に向けた国家プロトコル案」を基に、関係者と協議を行い、8月31日までに正式に発表する。
8月24日付「レゼコー」紙によると、企業内でのマスク着用義務付けに特例措置を設けないものの、多くの社員で混雑していない場合はマスク着用義務の対象とならないなど、状況に応じた適用となるもよう。一方、グリゼ中小企業担当相は19日、ニュース専門チャンネルのBFMTVのインタビューで、企業内の指定された場所でマスク着用を拒否する従業員は懲戒処分の対象となる可能性があると述べた。
従業員へのマスク配布は企業負担となる。国民健康保険公庫は3月14日から零細企業によるマスク購入に助成金を支給していたが、この措置は7月31日で失効した。上記のプロトコル案では、環境への配慮から洗って使える布マスクの利用を奨励している。
保健省の8月25日付の発表によれば、直近の24時間で新たに確認された感染者数は3,304人となり、1週間で2万5,766人増加した。感染の再拡大を受け、屋外におけるマスク着用の義務付けも首都パリのほか、トゥールーズ、リヨン、ナント、ニース、マルセイユなど地方都市や県に広がっている。
(山崎あき)
(フランス)
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