アンドラ・プラデシュ州、産業振興政策を発表
(インド)
チェンナイ発
2020年08月21日
インドのアンドラ・プラデシュ(AP)州政府は8月10日、州の産業振興政策「Andhra Pradesh Industrial Development Policy 2020-23」を発表した。同州が産業振興に関する政策を発表するのは、2019年5月の州政権交代後、今回が初めてだ。同政策では、小規模事業者や指定カーストなどに属する女性起業家に対し、多くの優遇措置を設けている。
州の均衡ある発展を重視
産業振興政策には、達成すべき目標や州政府の取り組み、投資に対する優遇措置などを盛り込んだ。適用期間は2023年3月末までとなる。
同政策ではAP州の強みについて、高成長が続く経済、工業団地などの産業拠点、道路や港湾などの基礎インフラ、豊富な労働力にあると言及している。政策目標については、若者の雇用創出、工業部門の1人当たりGVA(産業部門別粗付加価値)を国平均まで高めること、地域やコミュニティー間の均衡ある発展、環境に配慮した経済成長の達成とした。主な政策は以下のとおり。
○以下の10分野を重点産業に指定し、これらの産業に必要な共用施設を備えた大規模工業団地を開発。
- 食品加工
- 製薬・バイオテクノロジー
- 繊維
- エレクトロニクス
- フットウェア・皮革
- 玩具・家具
- 石油化学
- 航空宇宙・防衛
- 自動車・自動車部品
- 機械・精密機器および鉱業関連
○州経済開発庁(APEDB)や州貿易促進公社(APTPC)といった複数の州政府機関のサービスに関し、多面的な機能を持つ中央機関「YSR AP One」の下に統合し、起業家活動促進、市場調査および販売支援などのサービスを提供する部署を設立。
○大企業に対する投資優遇措置については、商業生産開始日から5年間に発生したSGST(州物品・サービス税)純額の100%、または同期間の固定資本投資額100%のうち、いずれか低い方を還付(注)。
○小規模事業者や指定カーストなどに属する女性起業家に対しては、上述のようなSGSTなどの還付に加え、工業用地購入にかかる印紙税や電気代の一部還付、固定資本投資への補助金を交付。
AP州では、2019年5月の州議会選挙の結果、投資誘致や産業振興を積極的に推進してきた前政権与党のテルグ・デーサム党(TDP)が、農民や社会的弱者層などから支持を集めた現政権与党のYSRコングレス(YSRCP)に大敗し、政権交代が起きた。
(注)中小零細企業などの定義は、2006年中小零細企業開発法および通達の規定に基づく。還付額は、雇用創出人数2,000人以上が100%、1,000人以上2,000人未満が75%、1,000人未満が50%と人数に応じて調整される。
(坂根良平)
(インド)
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